三大本格辛口甲州種ワインに想う

メルシャンさんの「甲州きいろ香」、甲州ワインプロジェクトさんの「KOSHU 2005」、そして大阪・柏原のカタシモさんの「キングセルビー・甲州葡萄辛口」、が出揃いました。
ボクがチョクチョク顔を出す日本ワイン関係の掲示板にて、「三大本格辛口甲州種ワイン」というお題でちょっと議論さしてもらったんで、改めて自分の意見をまとめる事にしました。
これらは三者三様とはいえ、シュール・リーや、樽発酵・樽熟成といったあくまでも”補助”手段に依存する事なく、甲州種そのもののが持つ元来のポテンシャルを発揮させて「豊かな香りと確かなボディー感」を持たせた「本格辛口ワイン」として世に問う有る意味問題提起でもあり、エポックメイキングなワインとして素直に評価すべきというのがボクの持論です。
「KOSHU 2005」については、文字通り『辛口』なコメントをさしてもらいましたが、これは取り組み方に対するものでワインそのものに対する批判ではありませんので誤解無きようにお願いします。
本来、甲州種で造るワインは、「香りが弱く、厚みに乏しい」とされてきましたが、シュール・リーや、樽発酵・樽熟成、そして補酸・補糖といった工夫で、本格ワインとして通じさせるための『演出』に過去様々なワイナリーがチャレンジしてきた結果、非常にバラエティー豊かで多様性を有するというワインが出来る事(これは、他の醸造用ブドウ品種には真似出来ん芸当として評価すべし!)が明らかになったことと、和食に合うワインとしての地位を確固たるものになったこと、という二点が顕然たる事実としてとして存在し、醸造側のたゆまぬ努力が実を結んだと言えます。
しかし、それはあくまでも『演出』によるものでそれだけでは限界があると思います。
栽培に関するレベルアップ(農家・醸造両者が手を携えての協力が欠かせない!)は勿論ですが、とにもかくにもブドウの持つ「オーラー」で持ってドンと来いと勝負するワインが出てきた事は素直にウレシイですし、何よりも新たな境地を拓いた事で評価すべきだと思います。
(カタシモさんは恐らく前者二者を参考にしたかもしれませんが、エノロジストといった外部の力に頼る事なく独自の力により、遠く離れた故郷の大阪・しかも気象的にハンデがある所で長年の努力の末生み出したという事実(4月6日の記事)を日本ワインを愛する皆さんには知って欲しいです。贔屓も多少入ってますが、、、。あと、旭洋酒さんの「千野甲州」、樽が入ってますが「甲州種そのもののが持つ元来のポテンシャルで勝負」というコンセプトが根底にあるので、本格辛口甲州種ワインの範疇に入れてもよいと思います。2005ヴィンテージは雑記帳2006年4月5日の記事にあるように新樽率が下り結果樽への依存度が減るので、ますます期待大です。それから見逃せないのが、勝沼醸造さん、イセハラを始めとするイイ意味での問題作を世に問うて果敢に挑戦されている姿勢は特筆ものです。こちらも本格辛口甲州種ワインをこれから取り組むのかそれとも敢えて孤高の道を選んでゆくか? そして、必要以上に手を加えない醸造方法でバランス面を追及しておられる硬骨の一本筋ワイナリー、機山洋酒工業さんの「キザンワイン白」も忘れてはなりません。今後の動きが見逃せませんなぁ。)