「地元に根ざしつつも果敢に挑戦!」旭洋酒訪問

3月の「それいゆ」3兄弟お披露目会で新たなる一歩を踏み出したソレイユワインの旭洋酒さん、こちらも3度目の訪問です。
ソレイユさんを知るキッカケとなったのは、近所のいきつけの酒屋さんで、甲州種ワインは繊細な果実味を生かすべきという持論から「果実味のある甲州ワインが好みでどっちかというとアンチ樽派」のボクに、「実は樽に負けない美味しい甲州種のワインがあるんですヨ。」と勧めて下さった「千野甲州(2004)」を通じて知ったのが始まりです。(ちなみに酒屋さんのご主人曰く、「甲州種に対する概念をいい意味で変えてくれる素晴らしいワインです。」。あと、小生の4月11日の記事も見ていただければ幸いです。)
そして、実際に頂き、「ぶどうの持つオーラ」を強くかつ優しく感じ取って感銘して以来、ここのワイナリーも贔屓にしております。
(「千野甲州」を飲んだときは、まるでユリアへの愛を通じて単に強いだけでなく愛の心を知って究極の秘奥義「無想転生」をついに会得し、人として完全無欠となってケンシロウとの最終決戦に臨んだ時の「北斗の拳」のラオウの如き圧倒感と溢れ出る優しさを感じました。スンマセン、ベタな例えで。それだけボクにとってエポックメイキングなワインの一つなのです。でも、こんな書き方したら鈴木御夫妻に怒られそうだなぁ〜。)
設立の経緯は、Webページに詳しく掲載されてますのでそちらを参照して読んで頂ければ幸いなのですが、特記しておきたいのが、先人である飯島三郎氏(2003年5月逝去)の知恵と資産を受け継ぎ、地元の土着文化に根ざした上で、日本での(いやいつかは世界に通じるポテンシャルを持っている)本格ワイン造りに取り組んでおり、なんと行っても御夫妻のお人柄を表すような『柔らかな温かみの感じられる優しいワイン』を造り出すことを目指しておられることです。
それと、この小さなワイナリーを語る上で外せないのがお二人の葡萄栽培家、小川孝郎氏と手島宏之氏の存在です。前者は、日本における醸造用葡萄栽培の最適解とされる『一文字短梢法』の第一人者として知られ、甲州種は勿論のこと、日本で困難とされてきたピノ・ノワールの栽培に果敢に挑戦されるなどチャレンジ精神あふれる方です。(お披露目会の時にはその存在感に圧倒されるばかりでした。)そして後者は、飯島氏の時代の旭洋酒の社員の方で都会と田舎をつなぐ農業の新しいカタチを追求する<はたけでネット>を主催されてます。そして、こういった優秀な栽培担当のブレーンとタッグを組んで地道に一歩一歩『美味しい日本のワイン造り』に携わっておられます。そして、かつての顧客だけでなく新生旭洋酒からのファン達が自然とサポーターになって支えていっているインディーズワイナリーの雄でもあります。
約束の時間を少々過ぎてしまいましたが、鈴木御夫妻は暖かく出迎えて下さりました。そして、一通りのコウバ(鈴木御夫妻流の書き方)案内をして頂き、試飲させて頂きました。頂いたアイテムはワインリストの項にある物を殆ど頂きました。エリソンさんへ行く時間が迫っていたので、ゆっくりテイスティングという訳には行きませんでしたが、印象に残ったのは、ワインフェスでは比較出来なかったソレイユ甲州のヴィンテージ違いによるキャラの相違点と取り置きをお願いしていた手島宏之氏の栽培したベリーAより醸造されたルージュ・クサカベンヌ(2005)でした。(リンク先は、手島農園さんの『クサカベンヌ解説ページ。)
ソレイユ甲州は'05は意図的に辛口度を上げたこともあり、どちらかというとさわやかで明るいキャラ的な感じですが(栓を開けた時に放たれた溌剌としたカリンの香りにびっくり!)、'04は重厚な感じでまるでロワールのシュナン・ブランのワインを飲んでいるかのようです。でも、根底には豊かなボディー感とさらりとしつつも余韻のある口当たりが共通してあります。ちなみにボク個人は'04が好きです。
また、ルージュ・クサカベンヌはお披露目会でのバレルサンプルと比べしっとりとした落ち着きのなかにシナモンの香りとベリー系の豊かな果実味があふれんばかりに拡がるというのが良かったです。こちらは速攻で購入しました。
鈴木御夫妻には時間が迫る中、押して対応して下さったことに対し詫びつつ、名残惜しむかのようにエリソンさんへ昼食に向かいました。
(追記)
ボクがこのブログでもよく参考記事として利用させて頂いている旭洋酒さんのWebページにある「雑記帳」のコーナー、ワイナリーそのものの経営や苦労話はモチロンのこと、日本のワインが今後どのようにアイデンティティーを確立すべきかについてソレイユさんなりのキチンとした意見を綴っております。「ものソレイユ」のコーナーと共に必見です!