話し合いだけで済むなら監督いらん

4日のサッカー日本代表の対マルタ戦は、試合より駄洒落の方がインパクトがあったという皮肉な内容でしたが、5月22日の記事で危惧していたことが悪い方へと作用してしまった典型的な例やと思います。ということで、改めて自分の考えをまとめるコトも兼ねて記事にすることにしました。
メンバーが固定化された状態では話し合いでも確かに充分機能する場合もありますが、そこは人間同士の集まり、何らかの相違点があるのは当たり前です。そういった所でコンセンサスを形成させて行くのが上位マネージメントの役割だというのはすでに書いた通りです。それを今更になって、
 ジーコ、豪州戦に危機感!休日返上で深夜に緊急会議
SANSPO.COM
 固められた守備どう崩す ジーコ監督、危機感あらわ
Yahoo!スポーツ 2006FIFAワールドカップTM)
では、これまでの4年間における上位マネージメントの存在は何なのだということに帰結してしまいます。(これは、監督だけの問題ではありませんぞー! 分かってますよね、JFAさん。)
過去の「アルゼンチンに惨敗でDF総取っ換え」に始まり、「高熱押して出場事件」や「キャバクラ事件」等、数々の枚挙に暇が無い某ブラジル人監督&カピタンの代表ですが、それを選手達自身で壁を乗り越える、つまり「下位が自らマネージメントする」ことで何とかこれまで乗り切ってきたのですが、選手はあくまでも「プレイをするのが仕事」で、現実にピッチに立っている選手が鳥のように俯瞰して冷静な立ち位置で見ることは不可能で、それこそが上位マネージメント(スポーツでは監督、会社では経営者や上長等の管理職、そして国家だと大統領や首相や大臣等の首脳。)の役割なのです。(中田英寿選手はプレイしながらも鳥のように俯瞰して見るコトが出来る希有な例ですが、それでも彼を気持ちよくプレイに専念させることで彼の高い能力を存分に発揮してもらうようにするのが監督の役目です! そうでないと神経使いっぱなしで自分のプレイが疎かになりがちです。) それをサボってきたツケが出てきただけのことであって、選手を責めるのは酷でしょう。
ネガティブなコトばかり書きましたが、とにかく、今は目の前の本戦を乗り越えるのが最優先! 代表としての誇りと責任を胸に、本番だけでも悔いの無い試合をしてくれることを願わんばかりです。
ちなみに、素人なりに考えたボク個人の理想の代表像はこういう感じです。(興味ある人はどうぞ。後はスルーして下さってもOKです。)
元々、日本はショートパスで繋ぐサッカーが好きというのが背景にありますが、現代サッカーでは
○徹底的にボールを持ったプレイヤーにプレスをかける
という積極的にボールの出所を抑えて潰しまくる。もしくは、
○思いっきり自陣に引いて厚い守備網でスペースを消す
という消極的ではあるがボールの行き先を無くして途方に暮れさせる。
といった戦術でボールの動きを殺して相手の攻撃力を削ぐのがフツウです。特に、後者は話題のマルタ戦に当てはまります。やり方は違えども、両者は「ボールの動きを殺す」面では一緒です。
そうすると、現行の日本代表で取っているちょろまかしたショートパスのみでボールを動かすだけで攻撃を組み立てる手法となると、プレスをかけまくられた場合パスが繋がらない、思いっきり自陣に引かれたらゴール前でパス回すだけでオシマイと八方塞がりになるのは目に見えてます。しかも、守備的中盤に「仕事人」系(地味に相手ボールを奪うのが主たる役目)が全くいないので最終ラインに負担がかかり、どうしてもズルズル後ろに下り、いわゆる中盤スカスカの「間延び」状態になってしまいます。だから、「ショートパス幻想」からはさっさと脱却し、
●守備的中盤に「仕事人」系を必ず最低一人入れる。(かつての、戸田和幸選手や明神智和選手、いまは今野泰幸選手や阿部勇樹選手や長谷部誠選手が当てはまる。特に、阿部選手や長谷部選手はパスセンスもあるので後方からの組立も可能になる。)
●4バック3バック論争は相手次第なので、決めつけるべきでは無い。むしろ仕事人の導入で最終ラインの負担を減らすのが先決。
5月18日の記事にあるように、相手の守備陣を切り裂いてスペースを作り出すタイプの選手が必要。特に自陣に引かれた場合に有効。
●ショートパスのみならず大きくボールを動かして手数を減らしてすぐにゴール前に迫るようにする。こうすることで、相手のプレスよりも先にボールを動かせる。
ジェフ千葉に代表されるような、結局はやっぱり人もボールもダイナミックにかつ流動的に動かすコトが必要。ショートパスのみではボールだけが動き、結果攻撃の幅が狭くなる。
機敏で勤勉な日本人の特性を生かすとなると、自然とこうしたチーム造りになると思いますがいかがでしょうか? '82年の記憶で止まっている某ブラジル人ではこんな発想は絶対にせーへんと思ったので、4年前に監督就任の報を聞いた時は「こりゃアカン」と思ったのが今や現実のものになってしまいました。トホホ、、、。