「プロブドウ栽培家としての誇りを胸に」ブドウ栽培農家池川仁氏との邂逅

さて、午前とはうって変わって炎天下の中、鳥居平のシャトレーゼさんの畑見学で汗まみれになった私は「天空の湯」一風呂浴びて、連絡を携帯でとりました所、菱山方面に向かう用事があるのでそこで話をしましょうということになりました。
で、ぶどうの丘で合流しその行き先は、何と3月19日に瓶詰め&打栓をお手伝いさせて頂いた三森氏の「菱山中央醸造」さんでした。何を隠そう、池川氏は三森氏のブドウ栽培のアドバイザーとして親交があるとのこと。「菱山中央醸造」さんといえば今朝宿泊させて頂いた勝沼ぶどう郷YHのペアレントご夫婦と親交があるぶどう園&ワイン醸造場で、廻り回ってこんな縁で繋がっていたことにホントに驚きました。(いやー、縁とは不思議なものですね。よい縁は大切にしないとイケマセン。)
ちなみに、「菱山中央醸造」さん、かのT崎S也氏が隠れファンの地ワイン醸造場です。
やがて、池川氏の友人で塩山の牧丘でブドウ栽培を営んでらっしゃるお仲間の荻原氏も合流して、3名のブドウ栽培農家の方々から本題の「山梨の醸造用ブドウ栽培の現状」についてお話を聞く事となりました。(しかも、3月19日にお手伝いした醸造所の軒先にてです。笑)
池川氏は、ホームページにあるように生食用ブドウ栽培農家として生計を立てておりますが、熱心な勉強家で、有る時は様々な所へ自分の足で赴き、また有る時は県の農業研修といった公的機関の講習等にも積極的に参加してその過程で様々な事を貪欲に吸収し、検証して客観的な分析データーで確証をキチンと取った上で良い所を自らブドウ栽培に反映させ、そのノウハウを蓄積したまさに「プロ中のプロ」なのです。(「節操なく取り入れている(本人談)」なんて謙遜されてますが、イヤイヤ良く考えておられますよ。)
ちなみに、旭洋酒顧問でもあるかの小川孝郎先生には、「本当にかわいがって頂いた。」と述懐しておられました。
そんな池川氏が、大きく影響を受けたのが、
(1)1982年から'84年まで派米農業研修生として、カリフォルニアのナパへ赴いたこと。(訂正:南カリフォルニアの主にコーチラバレーでの研修です。)
(2)イズミ農園山梨県北杜市大泉)の梅津鐵市氏に出逢い、師事したこと。
の二つです。すなわち、前者では生食用ブドウの垣根栽培の研修を通じて醸造用垣根栽培に関する知識や世界のワイン産業の現状を肌で感じとることが出来たことと、後者では仕立て方法(棚や垣根等)や剪定方法といった『木の上の方』ばかりが注目されがちなブドウ栽培における環境保全型の土造りの大切さとノウハウを学んだことです。
(イズミ農園といえば、すかいらーくとの提携が話題となって取り上げられたことのある、知る人ぞ知る農業法人です。)
そこで、自身がワイン好きであったことも有り、醸造用ブドウに関しても研究を行い、その成果が結実した一例が5月21日の記事で取り上げましたかの大和葡萄酒さんの「甲州種の垣根栽培」です。(そう、大和葡萄酒さんのアドバイザリー・スタッフなのです。)
正確には、垣根といっても欧州風の物をそっくりそのまま真似するのではなく、日本いや山梨の風土に合った仕立て方を研究した上でのもので、土にも気を遣い場所によって異なる最適な土壌管理を行ってます。そこが大事なポイントで、山梨の様々なワイナリーが専用種(シャルドネ、メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン等の欧州系)に取り組んでいますが、ココまで考えてやっておられる所は池川氏を置いて他には無いと思います。
そして、最近その成果が、大和葡萄酒、山梨県固有ブドウでワイン造り(「NIKKEI NET:地域経済ニュース」より引用。山梨日日新聞社Webページにも『醸造甲州ブドウの安定生産へ組合設立』というタイトルで記事が有ったのですが期限切れでリンク切れになったのでこちらを紹介します。)という形で反映されているのです。また、他の在山梨のワイナリー数社とも親交を持ち、いろんな形で貢献されてます。
このように、ワイナリーとブドウ栽培家の健全な関係構築にも腐心しておられ、「プロブドウ栽培家としての誇りを胸に」日夜真摯にブドウに向き合っておられます。
先日の記事で、「『雑感のコーナー・時々コラム』で『山梨のワインについて』記されているので読んで欲しい」と書きましたが、池川氏のブドウに対する想いを垣間見ることが出来るのがかのコラムの中の、『恵子の研修日誌』を読むとよく分かります。研修に来られた方の第三者の視点で分かりやすく書かれてますので読んでいて、実際にお会いして話を伺ったことがオーバーラップし、非常に胸にジーンと来るものが有りました。
ワイナリーでブドウ栽培されている方々には是非とも読んで欲しいコラムです。そして、『プロ栽培家の声を聴け!』と声を大にして言いたいです。
(ワイナリーの皆様、ボクの老婆心ではありますが、一度は謙虚に話を伺った方が良いと思いますよ。但し、チャンと襟を正して伺って下さいネ。)