大朝日岳イッキ登り

ガスガスの大朝日小屋

飯豊連峰と並ぶ東北アルプスのもう一方の雄、『朝日連峰』。標高は若干飯豊よりも低く最高峰の大朝日岳が1870mですが、そのスケールと奥深さは飯豊以上のモノだと私見ですが考えております。
今回は元々縦走の予定でしたが、前日28日の晩での30日の予報が降水確率50%だったのでピークハント(PH)に行程を変更した登山レポです。
さて、飯豊・朝日共アプローチの不便な山として知られていますが、それが故に返って真の山好きを惹き付けるものがあり、ことある毎(飯豊='98・'99と'01、朝日='02・'03と今年)に通ってますが縦走出来ず敗退も幾度も味わってます。今回も行程変更を余儀なくされましたが、逆に2日間凝縮した感のある山行となり、カエッテ良かったかなと思います。
車で行く為時間を要することから、前日28日に単身で車で一路山形を目指しましたが、途中首都高の湾岸線で事故渋滞に合い、朝7時半に出たのに東北道には11時頃に乗る始末。しかも、東北南部は梅雨前線が横たわり豪雨の真っ只中を走らざるを得ない羽目に。ウーン、こりゃコースどないしょうと心配しながらの運転でした。
山形道経由で山形に着いても雨は激しいままでしたが、宿泊地のひがしねベアフットYHさんに到着した時は小降りになってました。早速テレビで天気予報を見ると、明日29日は降水確率が午前30%・午後20%、30日が50%と報道されてたので、明日早朝に合流する所属する山岳会の仲間等と連絡をとり、PHに変更しました。ちなみに、ひがしねベアフットYHのペアレント御夫妻の旦那様は山岳ガイドも営んでおり朝日・月山方面に特に詳しい方で、奥様は何と飯豊・朝日連峰を中心としたフィールドで活躍されている写真家兼山岳ガイドの高橋金雄氏の妹様で、代表作『いのちの山 飯豊・朝日連峰』(山形新聞社刊)を購入し、その写真集に感銘したボクは再び「思わぬ所で繋がる縁」の不思議さにビックリすると同時に、人の繋がりの大切さを改めて実感しました。
翌朝はさくらんぼ東根駅で夜行バスで来たメンバーと合流、そのまま朝日鉱泉へ向かいました。30日の天気を考慮して、中ツル尾根をイッキに登って大朝日岳に登り、小朝日岳から鳥原小屋へ1日で周遊する強行軍で行くことにしました。
中ツル尾根へのアプローチは川沿いに1時間強程のところの川が二俣に分れる所からです。飯豊の梶川・丸森尾根同様ののっけからの急登で、北アルプスの三大急登なんかと引けを取らないエゲツナイ急坂です。小雨の中、時折日が差すというケッタイな天気で、途中長命水という水場で休憩を取りましたが、水の美味しかったこと! 文字通りの「いのちの水」でした。その事は後に証明されるとは露にも思いませんでした。そうして登って行くと、さすがに尾根上での2回目の休憩ではアゴが出そうになり、「ヤバイ!」と一瞬思いましたが、同行者の長命水を分けてもらい、無理矢理行動食を詰め込んでイーブンペースでゆっくりと歩くと徐々に身体が慣れ、頂上に近づいて坂も緩やかになった事もあり幸いにも歩きながら回復していきました。
頂上に着く頃にはすっかり元通りになりましたが、あいにくはガスの中で展望ゼロ。仕方ないので直下の大朝日小屋には入り大休止。ここで本当に回復出来たのがヨカッタです。気を取り直し、まずは「日本一美味しい」と評判の銀玉水へ向いタップリ水を汲むと、そこからは次第に天気が回復してきました。小朝日岳に上ると青空が垣間見えましたが、肝心の主稜線は相変わらず雲の中です。ここまで来れば、鳥原小屋はもうすぐ。手前の鳥原山に着く頃にはもう一寸で大朝日岳が見える所でした。
この日の宿泊場所の鳥原小屋はとても綺麗にリニューアルされてました。小屋番の朝日山岳会の方に伺うと3年前に綺麗になったそうで、山の上なのに水も豊富で水洗トイレも完備されている快適なオアシスのような所です。また、小屋番の方が飄々とした中にも愛想の良い人当たりの優しい方でありながら、実はアルパインライミングを始めとする総合登山技術を極めた方で、(社)日本山岳会東海支部の冬季ローツェ南壁登山隊にも加わったメンバーの一人ということで一同おっかなビックリ、本当にオドロキました。
夜にはすっかり晴天となり、山形盆地の明りが見える中、後日訪れる予定の上山市方面から上がっていた花火が小さいながらもハッキリ見えたこの晩は充実した山行に花を添えるものでした。
(行程)
朝日鉱泉(7:30)→二俣(9:03〜15)→長命水(10:19〜35)→休憩 (11:35〜45)→大朝日岳山頂(12:55〜13:05)→大朝日小屋 (13:13〜13:35)→銀玉水(13:55〜14:08)→小朝日岳(15:05〜20)→鳥原山(16:30〜50)→鳥原小屋(17:10)