北アルプス・折立〜雲の平〜双六〜新穂高(1日目)

太郎平からの薬師岳

会社の半期末を前に、兼ねてから会で計画していた雲上散歩企画に行って参りました。今回は4日間に渡るドップリ山行の記録です。(写真はコチラ
雲の平は北アルプスの中央部に鎮座する文字通りの『雲上の楽園』。アプローチは色々ありますが、何処を通るにしても最低一山を越えない限り辿り着く事が出来ない日本アルプス中でも隋一の奥地になります。まぁ、北アルプスのほとんどで俗化が進んでいるとはいえ、多少その影響を免れているのはそういった所以でしょう。
そんな訳で、雲の平の良さを存分に味わうには、じっくりと腰を据えた計画が求められます。一度は訪れたいトコロでしたが、幸いな事に会での企画が持ち上がりこの機会を逃してはならぬと思い念願を達成すべく大事に計画を練りました。9月中は仕事が佳境に差し掛かるのでこれ以降はしばし山行きのチャンスが無いのでホント大事な山行なのです。後は天候を山の神様に委ねて30日の晩に小生を入れて6名のメンツで池袋発富山行きの夜行バスに乗り込むのでした。
で、翌朝富山に着くと綺麗な青空が出迎えてくれました。富山地方鉄道立山行きの列車に乗り(なんと、乗車したのは京阪より譲渡された3000系テレビカーを改造したモハ10030形! 懐かしい〜♪)、車中携帯で天気予報をチェックした所、予報は申し分無しで思わず「うっしっし」とニンマリ。そのニンマリ振りにメンバー一同に笑われて仕舞いました。(苦笑)
列車には終点の立山駅より二駅手前の「有峰口」まで乗車。そこからは、かつては中世以降に戦乱に破れた武士も隠れ住んだと伝えられる有峰の集落が湖底に沈んでいる有峰ダムを経由し、登山口の折立(標高約1,360m)へ行くバスに乗ります。今では滅多に見られない黒革の鞄を抱えた車掌さんと出発時の運転手の丁寧で暖かみのある挨拶に感動を味わいつつ、バスはゆらゆらと揺られながら折立に到着。銘々身支度をして、4日分かつテント込みヘビーなザックを気合いの儀式を入れて担ぎ上げ(笑)、ロングコースのプロムナードである太郎平への登りに取りかかるのでした。
暫くは森林の中を延々と急坂をゆっくりと上がって行きます。何せ長丁場が控えているので焦らずイーブンペースで足並み揃えて歩いて行きました。そうする内に標高2,000mを越えると広大な尾根が目の前に拡がり、奥にはやや山頂は雲がかかっていたものの、巨大で威風堂々とした山容を誇る薬師岳(標高約2,926m)がそびえてました。「真打ち」雲の平が控えているにも関わらず、ただただその美しい自然の織り成す造形美に圧倒されるのみ。自然への畏敬を抱かずにはおられません。
季節は晩夏を迎え高山植物の最盛期を過ぎてはいましたが、時折垣間見える美しい花が粛々と咲いているのを見かけるとホッとします。(時期外れの筈のニッコウキズゲがポツリと二輪咲いているのにはビックリすると同時に切ない美しさを憶えます。) 平日とはいえ一番のハイシーズンは終わっているので鬼のような登山者の群れに遭遇することも無く、どことなく安堵感を感じました。
登山者の踏みつけで裸地が拡がった道ですが、整備で歩く所を制限されているにもかかわらず歩きやすい道です。やがて、木道が現れて来ました。もうすぐ太郎平です。ここには太郎平小屋が建てられており、診療所や山岳警備隊常駐所が併設されていることから、重要な登山道の要衛です。ここからは、薬師は勿論北ノ俣岳黒部五郎岳、そして明日目指す雲の平が見渡せるのでした。
ココで大休止。とりあえず到着記念とこれからの安全を願いつつ、缶ビールで乾杯。晴れだったのですが少し雲が出てきたので、薬師側に約20分歩いたトコロの薬師峠のテント場へ向いテントを張りにそちらへ向かうのでした。今日の晩御飯はハッシュドビーフ。偶然にも持って来たワインがケイペル・ヴェールのシラーズ2006年8月22日記事参照)。とても美味しいワインで裏ラベルに書いてある通り大自然の下で皆で気持ちよく頂き、750ml瓶がすっかり空に。初日から好スタートを切ることが出来て安心しました。
(行程)
折立登山口(9:05)→1870.6m三角点(11:18〜28)→後光岩ベンチ(13:15)→太郎平小屋 (14:20〜15:00)→薬師峠テント場(15:20)