北アルプス・折立〜雲の平〜双六〜新穂高(2日目)

祖母岳近傍からの祖父岳

順調なスタートを切った山行、テン場も居心地良く睡眠もバッチリ。いよいよ本日は「核心部」へ。メインディッシュを頂くのはこれからです。(写真はコチラ
この日の天気は曇り。周りの山々のてっぺんには少しガスもかかったりとちょっと気になりますが、雲が高いのでまぁ大丈夫かと。その、「核心部」雲の平は、黒部川の流れを隔てて太郎平の対面に鎮座してます。そんな訳で、川まで一旦大下りして薬師沢小屋を通過、そして台地の裾までまた今度は大登りと大変なんです。
さて、薬師沢の下りはまぁゆるやかで、途中緩やかなトコロに辿り着くと沢沿いに道が付けられトリカブトなど湿性の高山植物が沢山見られました。周りの針葉樹林とのコントラストが際立っており、少し幽玄な雰囲気を醸し出してます。そうこうしてまた黒部川本流へ下るとそこには赤い吊橋と山肌にへばりつくように建っている薬師沢小屋が見えてきました。これで今日の下りはオシマイ。これからは急峻な登りがいやでも待ち構えてるのです。よって一旦大休止。水も補給し準備も万端にしていざ雲の平へ向かいます。
その雲の平への登り、これがまた急な上に滑りやすい石がゴロゴロ転がる厄介な道です。うっかり足に力入れようものならズルッと滑ってコケてしまうので、パワーより繊細な歩きのテクが要求されます。(とはいうものの、ボクのように自然と踏ん張る力の強い足は丁寧に足を運んでも滑ってしまいます。トホホ、、、。)
有難いことに冒頭触れた天気のおかげで汗だくにならずに余分な消耗を防げたのはラッキーです。これがカンカン照りで気温が上がるようだったらと思うとゾッとします。きっとこの鬱蒼と茂る林の中の急坂で皆大変な思いをしたかもしれません。そんな天気を演出してくれた神様に感謝しつつ、次第に樹が低くなり緩やかな道になると再び木道が出現。ついに雲の平の端部に辿り着きました。ややガスがかかっているものの、手前には祖母(ばあ)岳・奥には雲の平の主たる存在の祖父(じい)岳が見えてきました。よく見ると、祖父岳の手前には赤い屋根に白い建物の雲の平山荘が見えます。名前の通り周囲を少し雲が包んでいる神秘的な雰囲気が、北アルプス最奥の秘境らしさを一層掻き立てます。
その雲上散歩、まずは「アラスカ庭園」と名付けられた台地を横切り、途中祖母岳のある「アルプス庭園」を通ります。「アラスカ庭園」では木道の下をウロチョロする小動物を偶然発見! ナンヤロウと思うたら実はオコジョでした。チョコンと首を出した可愛げなその姿は一躍皆の人気者に。正にアイドル出現の如き大騒ぎでした。祖母岳は山荘へ通じる道から少し外れたトコロにあり山荘と祖父岳をハッキリと見ることが出来ます。折角なのでゆっくりと山頂でスナップ写真、というかさっきのオコジョに出会った嬉しさがヒートアップし、アホげなポーズで写真に写ったりとハシャギまくりでした。(横で人おったら「お前ら何やっとンねん。」と突っ込まれるのは必至です。笑)
山頂の後は、雲の平山荘へ向いくつろぎタイムに。「ギリシャ庭園」のど真ん中に建っているこじんまりとした建物は中もエエ雰囲気の小屋です。丁度お手洗いを借りに中に入ると、入口のカウンターにはなんと五一わいんのシルバー(ハーフボトル)が! 思わず今晩のお伴にと赤の方を一本買いました。後は、テン場に向かうのみです。
テン場は、祖父岳に向かって歩いて30分の所の「スイス庭園」(いくつ庭園有るねん!)にあります。其処へ向かう時には、次第に雲が切れ、間からは澄みきった青空が! 少し風があり冷えますが、お日様が顔を出すと身体をエエ塩梅に暖めてくれます。テントを立てて荷物を入れた後は、食事の仕度まで間があったので思わず岩の上で昼寝してしまいました。やっぱり疲れが何気に溜まってるのかなぁ。でも、おかげで雲の平に包み込まれた雰囲気の中でお昼寝出来たのは何よりも心を癒してくれました。ちなみに、本日のメニューは麻婆茄子。味噌の味が五臓六腑に染み渡り、とても美味しかったのは言うまでもありません。それから「五一わいん・シルバー(赤)」、コレも美味かった。
夕方にはすっかり周りの雲は取れ、綺麗な晴天に。明日の好天を約束してくれるかのようなその夕焼けに照らされた雲の平と周囲の山々は、さらなる雄大な自然の造形美を黄昏時に見せてくれたのでした。それは、まるで山の神様からのプレゼントで、その雰囲気を享受出来たことに対し、ただただ感謝する他ありませんでした。
(行程)
薬師峠テント場(6:20)→太郎平小屋(6:40〜50)→薬師沢小屋(9:00〜30)→ アラスカ庭園(11:30〜50)→ 祖母岳往復(12:30〜13:00、休憩含む)→雲の平山荘(13:15〜14:10)→雲の平テント場(14:50)