『ワインフェス2007・春の足音』、行って参りました。

ついに会を重ね第4回となった「ワインツーリズム山梨」が甲府・For Hearts Cafeさんにて繰り広げる恒例行事。今回は9ワイナリー参加とムッチャ賑やかです!
ちなみにその参加ワイナリーは、「機山洋酒工業」「原茂ワイン」「シャトー酒折」「丸藤葡萄酒工業」「フジッコワイナリー」「旭洋酒」「ダイヤモンド酒造」「シャトレーゼ勝沼ワイナリー」「金井醸造場」、錚々たるメンツですね。
今回は、ワインツーリズムとタイアップした小冊子『br』も創刊され、そちらの販売もされてました。(小生勝沼訪れると必ず行くパン屋さん、行きつけの「パンテーブル」さんも掲載されてます。ウマイっすヨ!ホント。オススメ本にも載ってます。勝沼行った時は是非買いに行きましょう!) 冊子の今後にも期待です。
では、先程の順番に頂いたワインをチェック!
<機山さん>
甲斐Vinと共にこちらツーリズムもワイナリー側のまとめ役として活動を推進しておられる土屋幸三氏がトップバッターとして入口側で来場者を迎えて下さりました。
ボクが機山さんに触れる際に使うキャッチフレーズ『硬骨の一本筋ワイナリー』、すなわち方針が一貫してブレない折り目正しさがこのワイナリーの良いところですが、それを体現したのが必要以上に手を加えない醸造方法でバランス面を追及しておられる、「キザンワイン白」「キザンワイン赤」の二大定番商品です。(ミレジムは2005)
ポリシーは共通してますが、白赤それぞれテイストが違うのがこれらのワインの面白い所です。もちろん、白赤だから違うのが当たり前ですが、白がデリケートな甲州をかっちりした辛口に仕立てているであるのに対し、クセのある酸味がトレードマークのブラック・クイーン(以下、BQと略。決してBBQではありません。(笑) 失礼しました!)を丸みのあるふくよかな味わいという一見対照的な所を感じさせますが、実はブドウの特質に忠実かつ丁寧なワイン造りという点で一貫性を感じさせると同時に、その姿勢がブレ無いことに対しいつも好感が持てます。
<原茂さん>
前回訪問時にいろいろとお世話になった杉山啓介氏が今回登場されてました。
原茂さんのワインのイイ所は口当たりの良さです。杉山氏が醸造のスタッフとして加わってからはますますその酒質に磨きをかけてますが、定番「ハラモヴィンテージ 甲州シュール・リー(2005)」は勿論のこと、「ハラモヴィンテージ 甲斐ノワール(2005)」はBQ×カベルネ・ソーヴィニョンの交配品種ゆえに現れるワイルドさを抑え洗練した形になってます。
甲州シュール・リーと甲斐ノワールは後述するようにそれぞれ三社が出展されてましたが、各社毎に個性がありそれぞれ飲み比べてみると、「オッ、違うな!」と驚きます。だからワインってオモロイんですね。
それと、「ハラモヴィンテージ 甲州シュール・リー」は他社の甲州シュール・リーに無い独特の梨の香りがほのかに漂います。これが印象的でした!
<シャトー酒折さん>
「マスカット・ベリーA樽熟成(2004)」で赤丸急上昇中の酒折さん、新酒「甲州にごり(2006)」三地区(酒折・八幡・穂坂の各バージョン)とあの「マスカット・ベリーA樽熟成」2005ミレジムを出展されてましたが、2006年7月2日の記事で触れました池川仁氏のマスカット・ベリーAを醸造した特別版『キュベ・イケガワ』もついに御披露目です。
ノーマルのマスカット・ベリーAは八幡地区産ですが、決定的な違いは香り。最初にカカオの、そしてスミレの花の香りがします。口に含むとその違いは歴然! マトモなブルゴーニュピノ・ノワールのワインと遜色ないそのアロマには驚愕させられます。
天候不順に泣かされた2006年ですが、池川氏のマスカット・ベリーAはしっかりとその香りを維持してます。大和葡萄酒さんよりリリースされた「ベリー瑛(2006)」がそのワインですが、酒折さんのと共に本当美味しいです。元々持っているポテンシャルが高いので、醸造家としてやり甲斐のあるワイン造りが出来たという担当の井島正義氏の弁に納得することしきり。2006を井島氏がどう仕上げるかも楽しみ。
(追記)
ご存知「リカーショップながさわ」さんでもベリー瑛(2006)が紹介されてます。
<丸藤さん>
ついに大御所登場! 奇をてらわないワイン造りに定評があり名実共にワイナリーの顔である大村春夫氏が率いる丸藤さんが満を持してワインフェスに初参加です。
出展されたワインは「ルバイヤート甲州 甲州シュール・リー 辛口白(2005)」と2006国産ワインコンクール金賞ワイン「ドメーヌ ルバイヤート(2003)」の弟分である「プティ・ドメーヌ ルバイヤート ミディアム赤(2003)」です。直球勝負でイイですね。
プレゼンを務めるのは『日本ワイン列島 - 別冊[料理王国]』にも登場されている狩野高嘉氏で、今回小生とは初顔合わせです。
さて、この二点、前者は甲州シュール・リーの代名詞的存在として、後者はオール勝沼産に徹したメリタージュ(ボルドーブレンド)ワイン(=カベルネ・ソーヴィニョンとメルロは必須、あとはカベルネ・フランかプティ・ヴェルドーのどちらかをアッサンブラージュしている。)として名が知れてます。「甲州シュール・リー」は澱から出たアミノ酸に由来する「だしの旨み」が最も良く出ている好例でその旨みがコクとなって現れてます。そして「プティ・ドメーヌ」はボルドーブレンド(オール勝沼産で、こちらはカベルネ・ソーヴィニョンとメルロとカベルネ・フランながらも「和の風味」が出ており金賞ワインの「ドメーヌ ルバイヤート(2003)」(丸藤さんのトップグレード、カベルネ・ソーヴィニョンとメルロとプティ・ヴェルドーをアッサンブラージュの良い所を受け継ぎながらも飲みやすくなってます。まさに「日本の赤」の見本といえるでしょう。
フジッコさん>
最近はスパークリングの甲州ワイン(実は某所で味見しましたが初トライの瓶内二次発酵物にも関わらず良く出来てます。)もリリースしたりと意欲的に挑戦されているフジッコさん。こちらも定番の「フジクレール 甲州シュール・リー(2005)」と人気商品として好評の「クラノオト 甲州甘口(2006)」を出されてました。
雨宮幸一氏とは初訪問以来良くお目にかかってますが、ホント親切にして頂きいつも恐縮です。以前の記事に記した通り「クリアーでブライト」なテイストは相変わらずデス。
同じ甲州シュール・リーでもフジッコさんのは果実味溢れる風味で先程書いたように三社三様で個性が出ていて飽きさせません。甲州シュール・リーといえば原茂さん・丸藤さん・フジッコさんのが富みに有名ですがこの三社のであればまずハズシは絶対に無いでしょう。(一言でまとめると、香りの原茂・旨みの丸藤・果実味のフジッコ、かな。)
あっ、ちなみに新田商店さんオススメの「フジクレール セレクション シャルドネ(2004)」、無事購入出来ました。(曰く、丸藤さんの「ルバイヤート シャルドネ 旧屋敷収穫(2004)」に引けを取らないそうです。雨宮さん、お騒がせしてスミマセン。苦笑)
<ソレイユさん>
装いも新たにリリースされたばかりの「ソレイユ 甲州プティ・ポワゼ(2005)」「ソレイユ 甲斐ノワール(2005)」を持ち込み鈴木剛氏が馳せ参じました。
このエチケット、デザイナーは「それいゆ三兄弟(ピノ・ノワールブルゴーニュ&スイスクローンとメルロ、2004)」のも担当されたよしだみよこ様(以前、川上庵での御披露目会に登場)の手によるもので個人的にはお気に入りの素敵なデザインです。
「プティ・ポワゼ」は「ソレイユ 甲州(2005)」を樽熟成したもので、『ちょい樽甲州ワイン』ではルミエールさんの「レザンファン甲州」やイケダさんの「セレクト白」と並んで小生のオススメです。「千野甲州」だとかっちりしているので料理もシッカリしたのでないと負けますが、こちらは万能選手で料理を変に選ぶ必要が無いです。また、「甲斐ノワール」は2003ミレジムから相変わらずの優しい円やかな味わいで、暴れん坊故醸造の腕が問われる甲斐ノワールでもソレイユさんの共通コンセプトである『暖かみのある味わい』を醸し出しているのには素直に脱帽します。
3月11日の会が本当に待ち遠しいですね! (かの地を旅しているあの人は今何処でしょうか?)
<ダイヤモンドさん>
ハラモヴィンテージ 甲州樽熟成」と並び国産ワインコンクールにコンスタントに入賞をしている名作「シャンテ 甲州樽発酵」と2004年物では重厚な風味に驚かされた「シャンテY・A ますかっと・ベリーA Plus」のいずれも2005ミレジムが今回は登場です。
原茂さんの樽貯蔵がカッチリとした洗練した風味に対し、樽発酵ならではのふくよかな風味と適度な厚みが体現されておりこの甲州種ワインを特徴するものとなってます。それと、「ますかっと・ベリーA Plus」は2005年物では作柄を反映して重厚さよりも柔らかさに比重を移し『剛よりも柔』な仕立ての味わいに仕上がってます。2004年物の重厚さもエエけどコッチもまたよろしいなぁと思います。
会場にはyasuさんこと荻原葡萄園の荻原康弘氏もお見えになっていましたが、雨宮吉男氏とのトークバトル(「巨峰」で有名な大井上康氏の著書にある甲州の記述に関して二人が熱く語ってました。ちなみに小生もかつてこの記述を見せて頂き読んだことありますが実に面白く興味深い話が載っていますよ。もう一度読んで見たいデス。ハイ。)は横で聴いていて「オオッ」と圧倒されてしまいました。(笑)
シャトレーゼさん>
あれっ、今回は西島陽介氏がピンチヒッターで登場。何でも、戸澤一幸氏がなんと風邪でダウンだそうです。(あとでマスク姿で顔を出されてましたが痛々しそうでした。ホントお大事にして下さい。)
で、事前に聴いていたセミヨンの甘口ワインは残念ながら登場ならずで、「鳥居平・野呂 甲斐ノワール(2005)」「マスカット・ベリーA 樽貯蔵(2005)」と赤二種の見参となりました。いずれの赤も素直にストレートかつワイルドな味わいの戸澤節が健在です。特に、「甲斐ノワール」は以前のワインフェスと同様に「まろやかな中にも甲斐ノワールらしくワイルド」さを前面に押し出し、こちらの品種も三社三様で個性が出ています。(同じく一言でまとめると、洗練の原茂・優しさのソレイユ・野性的なシャトレーゼ、かな。どれも醸造の出来が良く旨い。) それと、「マスカット・ベリーA」、飲みやすい赤でした。キャンディー香も少なく癖の無い赤なので赤苦手な人でもOKだと思います。
西島氏のお隣が金井さんトコロだったので人の行き交いが多く、金井氏のフォローをしつつ自分トコロのも一生懸命説明している姿が微笑ましかったのでした。急遽登板にも関わらず、良く頑張ってましたよ。
<金井さん>
昨年末の『金井一郎物語』以来の再会です。
リリースされたばかりの「キャネー甲州 万力獅子岩(2006)」、今後出る予定の「キャネー マスカット・ベリーA+BQ(2006)」が登場しました。
2005物と同じ涼しげなエチケットがこの甲州種ワインの性格を現してます。複雑味のある『集大成』の「キャネー甲州 万力山(2006)」とは一線を画したシンプルかつストレートな味は「キザンワイン白」に相通ずる物があります。2006ミレジムではさらに2005よりも低亜硫酸(なんでも20mg/lと超低濃度!)になっているのですからオドロキます。
それと、「マスカット・ベリーA+BQ」は際立つBQの酸味をベリーAが優しく包み込む様な味わいになっており華やかながらも奥行きがあります。なんとなくエチケットがボクの好きなNew Orderのアルバム『Substance(ジャック・セロスのシャンパーニュの英語読みではありません。笑)』の内ジャケのモチーフに似ていると思うのはボクだけでしょうか? 中身は勿論のこと、エチケットのデザインにはハッとさせられるものがありました。Substance
ちなみにいずれのエチケットもデザインは金井氏のワインをずっと手掛けている秋元優典氏によるものです。(で、New Orderのジャケデザインは小生が好きな英国の有名デザイナー、ピーター・ザヴィルです。しまった!エチケットの写真撮っとくべきだった、、、。ハァ。)
さてさて、多少脱線もしましたが、ざっとワインについて振り返って見ました。で、会の方は大盛会! 人人人で以前参加した第1回以上に大賑わいでした。こうして地元による地元のための食とワインの催しが根付いてくれることは何よりも喜ばしいことです。For Hearts Cafeさん、何だかここだけが熱いオーラを発していたように感じました。いろんな方々との語らいで温かく楽しい一時を過ごすことが出来たのがヨカッタです。おかげであっという間に時間が過ぎた様に感じたイベントでした。
主催者代表の笹本貴之氏とお店のオーナー大木貴之氏にはお世話になりました。この場を借りてまたまた厚く御礼申し上げると同時に、今後も宜しくお願いします。
●関連資料
ワインフェス2007ありがとうございました。
(Four Hearts CafeさんのBlogより)
(追記)
あ、今度は第11回ウィークエンド・ワイン蔵めぐりに顔出す積りです。
山梨ワインさん、原茂さん、そして丸藤さんに申し込みました。