「新田正明氏−ワインを楽しむ会」、楽しい会でした!

笑顔をいつも絶やさない、勝沼が誇る『おらが町の酒屋さん』新田商店さん、ワインの町に相応しい人です。県内一円の美味しいワインを片寄り無くとり揃えている懐の広さと審美眼の高さが、会場の勝沼ぶどう郷YHのお客さんや地元の皆さん、果てはワイナリーの方々の信頼を得ているのです!
頂いたのは順番に下記のワイン。セレクトが相変わらずGoo!です。
←ペティアン・ド・マルス(N.V.、本坊酒造さん)
先週リリースされたばかりのペティアン。上澄みだけを頂くと超フレッシュ・フルーティーな発泡性ワインですが、澱と一緒の下の方を頂くとイースト香と共に旨味が。アフターのほのかな苦味が甲州らしさを感じさせます。昔、奥野田さんの『冬花火』を頂きましたが、マルスさんのはどちらかというと口当たりの良さと爽やかさにシフトしてますね。真夏の暑い日に気軽に飲みたい一本。(何と、値段が1,000円台なのもビックリ!)
香り甲州(2005、大泉葡萄酒さん)
甲斐Vinでも大絶賛された『甲州新酒』のヴィンテージ物です。驚くべきなのは、例の「きいろ香」が今だに残っている事で、味とのバランスが優れている事も再確認出来ました。ほんのりした甘味がまたよろしく参加者一同の人気を集めていました。新田さんも仰ってましたが、牡蠣との愛称は甲州種ワインが一番! 牡蠣フライにレモン汁をかけたのと一緒に頂くと至福の時に一直線だそうです。(笑)
ルバイヤート ソーヴィニョン・ブラン(2006、丸藤葡萄酒工業さん)
旧屋敷と試験園で手塩にかけて栽培されている、日本で数少ないソーヴィニョン・ブランのワイン。(記憶の限りで他はシャトレーゼ勝沼ワイナリーさんとあづみアップルさんとサントリーさんの登美の丘塩尻ワイナリーなど)小生もファンになった大村社長がコツコツと造っておられ、納得の行く年にしか出さない貴重な物なのです。二ヶ月前の蔵巡りツアーではサンプルを頂きました。本家「きいろ香」(本当の意味での「柑橘香」)はソーヴィニョン・ブランに軍配が上がります。大村社長のインディーズ・スピリット満載の、小生イチ押しの今が飲み頃である夏向き爽やかな味かつ優雅な薫りのワイン!
←キザンセレクション シャルドネ(2005、機山洋酒工業さん)
ブレない「硬骨のワイナリー」が二年ぶりにリリースしたセレクションシリーズのシャルドネ物。メルロ&カベルネ・ソーヴィニョンは去年出された2004ミレジムより装いも新たに出ていますが、こちらも容量の750ml化とエチケットのイメチェンが為され涼しげな雰囲気でセンス溢れるデザインです。(元々アートラベルも手掛けるだけあってセンスはピカ一!)
勿論、中身も優れ物である事は言うまでも無い(ワイナリーでは5月2日に販売し6日には売切れ。)超人気商品ですが、造り手の土屋御夫妻のお薦めは新田さん曰く、「すぐに頂くのが勿体無い、暫く寝かせて熟成させてから飲みたい」ワインであることデス! 確かに今頂いても洋梨の薫りが沸き立ち美味しいのですが、熟成で揮発香が穏やかになり葡萄の果実味が味わい深く変化することを考えると末恐ろしいポテンシャルを持ってます。
←アルガブランカ・ピッパ(2003、勝沼醸造さん)
JALの機内食に今年から採用された、有賀社長の熱い想いが一番込められたかのシンボリックワイン。(2006年7月2日記事参照)この時、サシで社長さんと頂きましたが(思い出に残る一日でした。(^^;) )、当時一緒に比較試飲した『甲州特醸樽醗酵』の2000年物により雰囲気が近づいて来てます。(樽の使い方も上手くなっているので、大分樽香は『特醸樽発酵』よりマイルド。)
心地よいシェリーのような薫りの後に余韻タップリのブランデーというかスコッチ・ウイスキーの如き後味は勝醸さんのオリジナリティーが溢れる傑作です。
←キザンファミリーリザーブ(2005、機山洋酒工業さん)
このワインは、必ず毎年買っている一本! 大阪に居てるウチの弟曰く「キュートな赤」で、非常に口当たりの滑らかな果実味と渋味の調和が取れた飲みやすく骨格もしっかりした赤ワイン。一家に一本の赤でお薦めです。
柔和な性格ですが、新田さんによると本ミレジムは少し質実剛健風にシフトしていますね。ボクはいつも頂いていますが確かにそう言われてみればそうかも?
●参考記事:『ワインフェス2006春、行って参りました。』(2006年5月20日記事より もうすぐ開催の案内が来るはず。楽しみ〜♪)
←それいゆ ピノ・ノワール(2005・右、旭洋酒さん)&七俵地畑 カベルネ・ソーヴィニョン(2005、山梨ワインさん)
本ワイン会の目玉二点! 欧州系高貴品種の二巨頭という何とも贅沢な組み合わせです。
それいゆ ピノ・ノワール』は既に取り上げましたように、日本でも数少ないピノ・ノワールのワインの成功例です。今回感動したのは、昨年の今頃も新田さんが出しておられた(この時は、2004ミレジムのスイス・クローン。)のですが、何故か新田さんの手に掛かるとリリースされたばかりから経過しているとは言えワインのポテンシャルを存分に余す所無く引き出してサーブしてくれる所が凄いのです! 特に薫りと味わいが爆発していたかのようで、チェリーのファーストアロマに続きクランベリーにペッパーとより複雑な香味と葡萄の果実味とパワーをより一層感じました。凡百のブルゴーニュ赤なんか買うよりはこっちの方が断然美味しい! 熟成が進めばもっと奥行きの有る味わいになるので、これも今飲むが惜しいワイン。
そして、3月の蔵巡りで情緒溢れる家屋が素敵で実力も兼ね備えた若きオーナー野沢たかひこ氏のリリースするフラッグシップが「七俵地畑(ひちひょうじばたけ)」シリーズで、バレルサンプルを蔵巡りの時に既に頂いてました。(実はそうなんです。新田さん、失礼しました。)果実香が主体の心地よい黒苺系の香りと柔らかな味わいに、樽香がさりげに付いており芯もしっかりしたワインです。勝沼産オール100%の数少ないカベルネ・ソーヴィニョン単独のワインとしては出色の出来! 無茶苦茶天候に恵まれた2004ミレジムにはあと一歩ですが、それでも遜色有りません。とにもかくにも、このワイン二種は、是非日本の皆さんには味わって頂きたいと思います。
たった2時間でしたが、ボリュームたっぷりの内容にて、ワイン好きもフツーの人も楽しめるアットホームなこの会、本当に大人気でYHの予約がさっさと埋まってしまいます。それでいて、サーブの腕も確かなただの酒屋さんとは一味も二味も違う「プロ」の極みでしょう。
改めて、本当に楽しい夜を有り難うございました!