ちょっと理系なお話から与太話(笑)まで大いに盛り上がった一日〜オブセワイナリーの曽我彰彦氏を囲んで

今回のは、そんじょそこらのワインヲタよりも、先入観の無い素人さんとボクのような「けったいな」ワイン好き(笑)に取って無茶苦茶面白いユニークな会となりました。これも、日本ワインの「水先案内人」ぶる魂さんこと西片裕次氏、そして、優秀なスタッフと共にオーナー相山氏が辣腕奮う平塚のハッピーキュイジーヌブラッスリーH×Mさんと姉妹店のmoto Rossoさん(全国1千万人(ウソ)が観る人気コーナー「今日のまかない」は必見・笑)のお陰です!
またまた長編になってしまいました。(苦笑)曽我さんの人となりも含め、読み取って貰えたら幸いです。

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さて、彰彦様(弟さんはココ・ファームさんに在籍。2006年8月3日旅日記参照。)はハッキリ言って家業がワイナリーと言うより地元に根ざした酒造やさん(日本酒蔵も手掛けてます。詳しくは、小生お手本の日本ワインサイト自転車で行く 訪問・日本のワイナリー」の小布施酒造(株)/小布施ワイナリーの項参照。)といって過言ではありません。ボクは幸いにも3回訪問させて頂き、その度に彰彦様の世話になっていて頭上がりません。(苦笑)
巷のメディアでは、「日本ワイン界の風雲児」的な扱いから「自然派の潮流にうんぬんかんうん、、、」といった扱いのように、ウケ狙い的な見方をされる事が多いですが(あるいは「修行僧」(笑)とか)、実際は「ワイン造り好きの素朴な兄ちゃん」であり、また家族や従業員を思いやり地域の経済を支える一経営者でもあります。近所のユースホステルに泊まるとその雰囲気が分かってくると思いますヨ!)
それと、ココが重要なのですが、ワインは頭だけでなく体でも造るものである事は言うまでも有りません。ただ、そこで「テク先行」とかあるいはその対極の「哲学ドップリ」になってしまうのでは無く、泥臭くとも栽培から醸造まで一つ一つを奇をてらう事なく積み重ねるつつ研究熱心な「技術屋さん」で有る事が彰彦様の等身大の姿でしょう。(勿論、そこまでには様々な紆余曲折が有りましたが、、、)
そんな彰彦様が一番心配しているのが、「農業の行く末」。一例を挙げると、以前の酒井ワイナリーさん訪問(2007年11月3日記事参照)や2008年1月9日の小生記事で指摘しているように自然の営みを上手いこと利用する筈の農業が「やたら資源を浪費している」事実。それに対し、彰彦様は色々な面で地道にしかも自分なりにロジックを立てて徐々に脱却する方向へ進んでます。
(何故か、化学屋さんの小生がビクンと反応した「ハーバー・ボッシュ法(高校化学の教科書にも登場します)」が出てくるとは思わなんだ・驚。リンク先はWikipedia化学肥料に関するお話から芋づる式に出てきたのです・笑。後者のリンク先は「日経サイエンス(1997年12月号)。」)
<参考>
オブセワイナリーさんのサイトから

パッと見の字面だけ追うと、単なる「自然派」や「ノスタルジーに浸る」ように見えますが、読み込んでかつ本人より話を聴けば真骨頂はそうでは無いことが分かります。念のため!(技術の突っ込んだ話になるとアカデミックになってしまうので、そこを小生が咀嚼して伝えられればと最近は思います。)
エライ前置きが長くなりましたが、今回のワイン会では同じワインを第一部ではアカデミックに、第二部では食事しながら楽しく頂きました。以下小生なりの感想を頂いた順に振り返りたいと思います。(お値段はワイナリーのサイトを参照。)
○Sogga père et fils スパークリングE トラディショナルメソッド
(エキストラブリュット・ノンミレジム)
所謂「瓶内二次発酵」の本格スパークリングワインで「Sogga père et fils(ソガ・ペール・エ・フィス、一部買い付けブドウをも含めて醸造。ネゴシアン物に相当。)」シリーズに当たります。スティル用では質的にもう一つのブドウを有効利用しようとした発想(某ワイナリーのデラスパークリングと同じ)から産まれた商品で、穏やかな抽出でロゼ仕立てにしたメルロのスパークリング。
メルロのスパイシーさと瓶内二次発酵に由来するイースト香が程よく感じられ、泡も細かいです。食前酒としても頂けますが、根菜を甘辛く煮付けた筑前煮みたいな食事にも合いますよ。手間掛けている本格スパークリングなのに、なんと!\2,835-也〜♪(ドゥミセック(やや甘)タイプ、E1もお奨め! ドゥミセック、実は玄人好みのお品なんですよ。)
○Sogga père et fils 小布施ブランVDP(2006)
ワイナリーで一番お安く購入出来る名刺代わりの一本。(\1,365-)
北海道産と地元産のドイツ系品種(ミュラー・トゥルガウ、バッカスリースリングと言った白系品種のアッサンブラージュ)からなるワインで、素直に飲めます。涼しげなハーブ香と柑橘香が漂い(第二部でのロブマイヤーグラスでより実感)、澄み切った透明さにもかかわらずエキス分も有る(グラスの「足」(=内側の滴の垂れ具合)から分かる)美味しい白ワイン。おやきとの相性抜群とかつて書きましたが、確かにこれは万能選手でなおかつ引き立て役としての幅が広い!(「白レバーのソーセージ・オレンジのソース」のオレンジとピッタリで、レバーとも合いエキス分のお陰でスッと受け入れてくれます。)
○Sogga père et fils シャルドネ・オーディネール(2006)
「オーディネール(ordinaire)」の名の通り、単一品種のしっかりした造りのワインでありながら“日常”のワインとして親しめるお手ごろクラスの逸品。(\1,575-)
酸に切れがあり果実味とフレッシュ感重視で、ジャパニーズ・シャルドネとしてのスタンダードさを追求した趣き。新樽発酵のお陰で奇麗に発酵が進み、熟成は古樽ということからまろやかな熟成で、変に背伸びせず造っているのに好感が持てます。(「須川マスと生湯葉ミルフィーユ・ヴァニラ風味」のマスの脂分を流し、湯葉に妙にフィットしてます。)
○Sogga père et fils 小布施ルージュVDP(2007)
名刺代わりの一本の赤ヴァージョンで(\1,365-)、メルロ主体でブラック・クイーンとヴィニフェラ系のアリカント(←間違いがありましたので、訂正しました。お詫び申し上げます。)*1アッサンブラージュしてます。メルロの持つしなやかさ・ブラック・クイーンの酸・アリカントのビビッドさが調和し、華やかなクランベリー系の香りとキノコっぽい土の風味となってます。飲み飽きない赤で、仲村さんの「がんこおやじ」と並ぶデイリー赤の双璧です。(笑)
(同じ「須川マスと生湯葉ミルフィーユ・ヴァニラ風味」が赤にも合います!こってりしたマスとええ塩梅に頂けます。魚=白・肉=赤は、かの本に書いてますように単なる「固定観念」にしか過ぎません。)
○Sogga père et fils メルロ・オーディネール(2005←雹害の年のミレジム。当初2006と書いてしまいました。お詫びします。)
メルロ単一の“日常”のワインでこちらはしみじみとちびちび飲みたいです!(\1,785-)
デイリークラス故に若干の青臭さを感じましたが、それは仮の姿(笑)。第二部でロブマイヤーグラスに注いで頂いた所、ビックリ仰天! しっとりしたブラックベリー香とビターチョコの風味が大人の味デス。腰もしっかりしていますが可愛らしく仕立てていて、このことから樽のニュアンスが程よく出ていることが伺えます。(こう書くと、彰彦さんの好みの女性像だったりして。いつかツッ込んでみよう。笑)雹害の年に、有志の農家さんから分けて戴いたメルロを使っている今だからこそ言える「思い出」のワイン。
○Le Vin Naturel de Domaine Sogga(TYYA) Cabernet Sauvignon Culture Biologique(2006)
○Le Vin Naturel de Domaine Sogga(TYYA) Merlot Culture Biologique(2006)
本日の目玉二点。(自社畑100%物のDomaine(ドメーヌ)シリーズ)かつて小生が味見いたしましたシャルドネピノ・ノワールに続く第二弾! もちろん、しっかりしているのでコレ日本の?と驚愕されると思いますが、それよりも驚いたのは、突き放したような取っつきにくさでは無く、懐の深い包容力の有るなんか身近な雰囲気も合わせ持った「うきうき!わいん。(敢えて、「ワイン」としませんでした。)これは、樽出しのを頂いた時(「うきうき!」の所をクリックして下さい。)から化けましたね。ホンマに!(「ミンククジラのロゼ仕立て・エスプレッソの香りで」にはどちらもドンピシャです。)
それぞれの品種の雰囲気がどちゃらこちゃらとか、栽培や醸造がと解説してもエエんですが、この二つはそんなこと放っぽり出したくなります。(笑) 小細工無用の全うな造りの「わいん」で、艶めかしさにうっとりしますね。チャーミングなカベルネ・おしとやかなメルロ。それぞれ各人のお好きなのを選んで下さい。後悔はしません!(口説く時の「切り札」に最適ですよ、笑。共にあと2・3年寝かすともっと良くなるのが想像出来ます。)
彰彦様のワインは、手に入れやすい「ソガ・ペール・エ・フィス」と伝家の宝刀「ドメーヌ」物との棲み分けがハッキリしていて、それでいて造り込みはどちらも手抜き無しと筋が通っています。(ここ数年、前者のレベル向上が著しくドメーヌ物とは違った魅力に仕上がっている。そのお陰でドメーヌ物もより磨きが掛かっています。)彰彦様自身は天狗には成らないですが、第三者的に評価してもまだまだ伸びしろが有ります。(本人曰く、「これが完成形では無いんです。」某社長さんからも良く聞く科白だ!)世代が重なれば、大々的に宣伝しなくともきっと日本だけでは無く海外からも正当な評価を受けるでしょう。『CLUB ワインの樹』という草の根ファンのためのオーナー制もあり、何だか惹かれる人がふらっと入会して、収穫とかのイベントでは仄々とした風景が見られますよ。(従業員の皆様が大変なイベントにも関わらず、おもてなしをして下さります。しかも、地元のオッちゃんやオバちゃんとかが手弁当でフォローも!)
最後に、曽我彰彦様、会主宰の西方様、そして愛されるお店の相山オーナーと川端店長、そして菊池シェフ、お店のスタッフの皆様にはこの場を借りて厚く御礼申し上げます。
本当に素敵な一日を有り難うございました!
○関連記事
オブセワイナリー醸造体験ツアーに行って来ました!(2007年10月27日小生記事)
小布施へ行ってきました!(2007年3月10日小生記事)
たかやしろさんと小布施さんを訪問(2006年3月25日小生記事)
ヴィノロック栓の話題(2006年9月24日小生記事・最近では「ドメーヌ」物のピノ・ノワール2005ミレジムに全面採用)

*1:正式名称は「Alicante Bouschet(アリカンテブーシェ)」。アリカントは果肉が赤い。詳しくは『The Oxford Companion to Wine(Third Edition)』を参照。(小生所蔵)ラブルスカ系のベーリーとのハイブリッドがベーリー・アリカントAになります。同じくこちらも果肉が赤い。(善兵衛品種の一つ。詳しくは「日本ワインを愛する会」の品種解説の項参照。)