津金の蒼き空の下にて、、、。

韮崎近辺に車を置き、小生は自転車にてBEAU-PAYSAGEさんの畑へと向かいました。近くのおいしい学校でのパン屋さんで腹ごしらえして暫く待つと、岡本英史氏と畑にて約2年ぶりに再会することが出来ました。
以前の訪問記(2006年3月27日)でも記しました様に、農産物全体に対しての関心が強くたまたまその中でも好きであったのがワインだったと云うことです。そして、氏のワインは「余計な主張よりも体に染み入る」ワインで有るが故に、何気にふと空いていたのだけれども他には無い妖麗さとありのままの味を感じると私個人は考えています。
それは、いかにも分かるようなインパクトのある美味しさのワイン(岡本氏曰く、そういうワインは「缶酎ハイワイン」と称してます。ボク流なら「アルコール添加濃縮還元ブドウジュース」ですね。笑)とはハッキリ言って一線を画しており、メディアが俗に書き記している「自然派」というキャッチコピーの枠とも異なるでしょう。即ち、お気に入りの地である「津金の自然の流儀」に沿った農産物から出来たワインであり、そのために余計な贅肉をそぎ落とした造りを目指してます。(その結果として良い意味での個性が確立されており、個性を確立させることが目標になるような「手段の目的化」になっていない所を私自身は評価しています。こう書くと簡単そうに思えますが、実はそこに至るまでが難しいんですよ。)
ですから、ありのままの味を感じてもらい、南アルプス甲斐駒ヶ岳八ヶ岳連峰を望む『優れた眺め』を知った上で頂ければもっと素直に楽しく飲めるでしょう。
単調な「アル添濃縮還元ブドウジュース」では味わえない、ブドウに逆らわない造りを自分なりに表現した結果がそこに現れていて、無理やり表現しようと躍起にならない岡本氏の人柄が表された自然体さが “la montagne” (メルロ100%のワイン)を筆頭とした全ての「作品」の根底に流れていると、小生は感じてます。
で、今回再会して強く感じたことは、
「自然のありのままの雰囲気を飲み手に楽しんで貰いたい」
といった素朴な想いを込めて、苦労も生きる中にある一つの出来事として流しつつ自身も楽しむ姿勢を忘れずにいようとする清々しさのオーラが自然と出ていたことです。
かつてお会いした時は「作品」の有り様を追求する姿勢を強く感じたのですが、そんなことを意識させない伸びやかな雰囲気になってます。そして、農業を営む人だけでは無く、農やワインに関わる周辺の産業や、飲み手に関わる酒販店・飲食店の方々もが利益を享受出来るようになればと語り、より大きな視点で物事を捉えるようになった岡本氏の姿には、昨年頂いた2005ミレジムの “la montagne” や “TSUGANE Chardonnay” の雰囲気が何気に自然と重なり、また頂きたいなぁと想わせるとても素敵な一時を過ごせたのでした。
(謝辞)
作業の傍ら、お話を聴かせて頂いた岡本英史氏には厚く御礼申し上げます。本当に有り難うございました。