山梨発『アッサンブラージュ』ワイン会に参加して。

山梨在籍の若手醸造家が集う『アッサンブラージュの会』が集うワインセミナーに参加して来ました。
アッサンブラージュとは、フランス語で「ブレンド」の意。特に、ワインでよく使われますが、1970年代に家族経営ワイナリーがお互いの研鑽を狙って自主的に交流(まさに、お互い「アッサンブラージュ」してですね。)を行っている会です。大手(メルシャンさん始め)や中堅どころ(所謂、勝沼『御三家(丸藤さん・勝醸さん・中央さん)』)にはない、小規模経営でのメリットを生かし、最近30代の若き当主達が精力的に活動されています。
五反田・ゆうぽうとにて開催された今回の催しでは、ワインにより親しみを持って貰おうと一般の人をターゲットとしたざっくばらんな雰囲気で、簡単なセミナーに続き料理を頂きながら、参加の6社さん(所属は8社。都合により今回は6社に。)が代わり変わり各テーブルで『飲みやすい本格ワイン』を一本セレクトして味わって頂くという指向で企画されたものです。では、その6社さんのを以下に紹介します。(紹介は小生のテーブルにて案内して頂いた順番です。社名敬称略。)
塩山洋酒醸造
大正ロマンベーリー・アリカント(2007)』=写真右から2番目のワイン。
この4月より次期当主となる荻原弘基氏が説明を担当。名物ベーリー・アリカントA*1100%の『大正ロマンベーリー・アリカント(2007)』を頂きました。この果肉までが真紅のブドウを用いたワイン、赤シソのような濃厚なルビー色の外観から「おおっ」とびっくりしますが、いざ実際に味わって見るとジャミーな薫りにブルーベリーのような風味で、丸みのあるタンニンのお陰で飲み易く、かつキュッと来る酸味がアクセントとなってます。
名前の通り、レトロな洒落たエチケット(ワインを片手にした着物姿の女性をモチーフにしてます。)も素敵です。不思議なのですがワインの醸し出す雰囲気に合ったデザインですね。
今後は、銘柄の整理が急務との事。消費者に分かり易くして行きたいという意向もあり大変かと思いますが、頑張って欲しいですね。
甲斐ワイナリー
『かざま甲州辛口(2007)』=写真左端のワイン
甲州種の素の魅力をシンプルな造りで引き出した『かざま甲州辛口(2007)』は先日の「甲斐Vinワインセレクション」にて<甲州B部門(甲州樽無しの部)>で2位を取ったばかりで、何よりもそのことが嬉しかったと正直に語って下さりました。ワインにも実直な人柄が反映されており、この上級版の『かざま甲州ヴィンテージ』はもっとオーソドックスな造りにしているとのこと。
主力の商品は甲州種のワインですが、自社畑にて試験的にバルベーラ*2を栽培されているそうです。なんでも、風間聡一郎氏が海外を研鑽のために廻ってる最中に好みのを造ってた所のそれがバルベーラのワインだったと。これは、楽しみです!
(ワイナリー併設の小洒落た和風カフェ『古壺』が人気ですよ。)
アルプスワイン
『AWプラチナコレクション マスカット・ベーリーA(2006)』=写真右から3番目のワイン
最近、建屋をリニューアルされおしゃれな外観となったアルプスワインさんは前島良氏が応対して下さりました。
今回頂いた『AWプラチナコレクション マスカット・ベーリーA(2006)』、溌剌とした中にもプラムやブラックベリーのような薫りと程よく豊かなボディー感が特徴で、カベルネ・ソーヴィニヨンアッサンブラージュ(会の名前がそうですから敢えて「ブレンド」とは書きません。くどいって?・苦笑)されてますので、それが上記のような薫りとボディー感に繋がっているのだと思います。(実はこのワイン、『AWプラチナコレクション マスカット・ベーリーA(2005)“R”』と共に2007国産ワインコンクール銀賞受賞ですが、愉快なこぼれ話(^^;が、、、。それはワイナリー行って前島良氏に聴いて見ましょう。)
面白いのが、ワイナリーでマイボトルのワインを直に購入(瓶詰めから打栓も出来る。しかも飲みきりサイズのハーフなので有り難い。)出来るのですが、今後はワインの「量り売り」を直売場で試してみたいという構想でした。
なにしろ、全ての人がフルボトルで頂くとは限らないから財布と相談しながら量も欲しいだけ頂けますし、また好みのアッサンブラージュで自分だけのキュベもこしらえるといった面白いことも出来ますね。(ワイナリーさんにとっても、売りやすくなって回転率も上がります。)
蒼龍葡萄酒
甲州シトラスセント(2007)』=写真左から3番目のワイン
Japan Wine Challenge 2006での『SORYU RESERVE 甲州(2005)』や、『SORYU PREMIUM 甲州(2006)』を初めとして2007国産ワインコンクールで受賞ワインが目白押しの蒼龍さん、ラベルもリニューアルしつつ、品質とブランドイメージを高めて行きつつあります。昔は「無添加ワイン」が代名詞でしたが、いまやそのイメージを払拭してかつての知名度に胡坐かくことなく頑張っています。
今回のワインはグレープフルーツ系の薫り(=「きいろ香」)が印象的な『甲州シトラスセント(2007)』が担当の鈴木大三氏と共に登場。小生は、最初のミレジム(2005年物)から知ってますが、あのときからは格段にレベルアップしています。飲みやすさ・薫りの立ち具合・風味とどれも良くなっていますね。
ちなみに、このワイン、かの『きいろ香三種の神器』であるVL3酵母でこしらえたものとそれとは別の酵母のとをアッサンブラージュしていると鈴木氏は仰っていました。ここに美味しさの秘密があるのかもしれません。それと、甲州ワインの各シリーズを比較してみたいなぁ〜♪『RESERVE 甲州(2005)』・『PREMIUM 甲州(2006)』はもう一度チェックする必要がありますな。
麻屋葡萄酒
『花鳥風月・甲斐ノワール(2005)』=写真右端のワイン
実は、ここの『勝沼甲州シュール・リー』が結構お気に入りで、甲斐Vinワインセレクションで先日以外にも2005年開催時でも投票した覚えがあります。(地元消防団の席で麻屋さんのはシュール・リーではありませんが御用達らしい。)
雨宮一樹氏がセレクトして持参してきたのは、【花鳥風月シリーズ】の『花鳥風月・甲斐ノワール(2005)』(花=マスカット・ベーリーA、鳥=甲斐ブラン、風=甲州と品種名とをシンクロさせ、エチケットも同じデザインコンセプトで色も品種のイメージに即したものとしています。)、甲斐ノワール*3はなかなか醸造の腕が問われる(個性的な赴きなので)のですが、若干青臭さが本の少し(気に障るか障らないぐらい。)しますが、カベルネの雰囲気の中に垣間見える野生味を旨く頂けるので、味は絶品です。一樹氏が醸造家としてよく頑張っている証拠ですね。
同席した女性陣の皆様からは、「4本ハーフセットがあればいいなぁ〜♪」と。それもそのはず、マイペースで少ない量を飲むのにハーフはぴったりですし、やはり4本揃えたシリーズで購入しやすくなると、、、。ハーフをボトリングする手間を掛けてでもきっとペイすると思います。
ダイヤモンド酒造
『シャンテY.A. ROSADO(2007)』=写真左から2番目のワイン
3月16日のウイークエンド蔵めぐりにて訪れたばかりのダイヤモンド酒造さんは、雨宮吉男氏が急用で出るのが遅れたにも関わらず、頑張って出向いてぎりぎり間に合いました。高速の渋滞にめげず来て下さったコトに感謝です。
頂いたワインは、その蔵巡りの際に頂いた『シャンテY.A. ROSADO(2007)』、以前より有るロゼは生食用の巨峰から造ったものですが、今回のは以前の記事で触れたようにれっきとした日本オリジナルのワイン用ブドウ、マスカット・ベーリーAより造られたものです。
美しい色に合わせた唐草模様のエチケットに加え、味も周りの皆さんが気に入っていました。辛口ロゼはどんな料理にも合わせやすいので気軽に頂ける本格ワインとして重宝する存在でしょう!


こうして、あっという間に時間が過ぎて行ったのですが、飲みやすさに的を絞って分かりやすく各社が説明して下さる機会はそうそうありません。大きなイベントでは回るのに苦労しますし、かといって一社では企画する側が大変です。でも、家族経営の小さなワイナリーでもこうして束になって掛かればイベントする側も、客として入る側も、バラエティー有る中で楽しめお互いにとって有り難いことやと思います。(しかも、やらされ感では無く、造り手も飲み手も「自身の手」で手掛け・選択出来る。)
今回のイベントでは、麻屋葡萄酒の雨宮一樹氏はじめとする『アッサンブラージュの会』の皆様・ならびに幹事役のソムリエ・大山政弘氏の企画の下、楽しい時間を過ごすことが出来ました。改めてこの場を借りて御礼申し上げます。有り難うございました。
○関連記事
山梨日日新聞社 Miljan -みるじゃん-・『やまなしワイナリーめぐり』」にて今回のワイナリーさんが掲載されています。(地図等も入っているので助かります。)

*1:ワイン用で一般的な西洋ヴィニフェラ系のアリカントと、食用が基本の北米ラブルスカ系のベーリーとのハイブリッドがベーリー・アリカントAになります。(善兵衛品種の一つ。詳しくは「日本ワインを愛する会」の品種解説の項参照。)

*2:イタリア北部、ピエモンテ州が主な産地の黒ブドウ。トゥの立った独特の酸味が特徴。日本では小布施ワイナリーさんが栽培されてます。

*3:「日本ワインを愛する会」の品種解説の項参照。)