埋もれさせて置くのが勿体無い日本ワイン!〜 三大“おかみ”の会・予習シリーズ(2・3)

サン・スフル赤(2007)』 (タケダワイナリー・写真右)
 【樽無し・嫌み無し・ケレン味無し】の三拍子が揃った、マスカット・ベーリーA100%で直球勝負した岸平典子社長の名作ワインです。
 契約農家ですが、長きにわたるおつき合いがあり信頼のおける天童市の農家さん・花輪和雄氏のベーリーAをがっつりと・亜硫酸無添加で醸し出し、無濾過で瓶詰めしたのでブドウの果実味がたっぷり詰まっています。2007年ミレジムからはさらに極力ワインをいじらない様にと敢えて澱も除かずそのまま瓶詰めしていますが、その分旨味成分もそのまま! 山形産独特の酸の収斂味が際立っていながらも、花のようなブーケに木イチゴのような果実の甘味と旨味が調和して、一つの要素だけが尖っていない優れモノ。単に「濃ゆい」のでは無く、フレッシュさにプラス本当の意味での「濃厚さ」も持ったワイン。
最近のベーリーAのワインでは、樽熟成でキャンディー香がしない「大人の味」なベーリーAのワインが続々と出ていますが、これは花輪氏とその「ブドウ」に対して最大限尊重して仕立て、別のスタイルで「大人の味」がするベーリーAのワインになっています。ついに、2005年物以来焦点がハッキリと確立出来たのではないのでしょうか。マジ旨い・春だからこそお薦めのワイン。
それいゆ ピノ・ノワール(2005)』 (旭洋酒・写真左)
日本のピノならこれが一押し!の旭洋酒さんの渾身の力作。もう、ブルゴーニュ(あるいはロワール・アルザス、はたまた新世界etc. )のピノがうんぬんと細かい器の狭いこと云って比較するのはナンセンス。初めて頂いた頃より、さらに増して美味しくなっています。素材の味を生かしつつもしっかりした(やたら上げ底の濃い化粧では無く、中身のしっかりした味のです!)ソースの肉料理、というかそういう食事と合わせると尚更美味しいワイン。(丁寧にしっかりと造り上げた煮込み物の和食にも合いますが、やはり本格フレンチにですね。)
改めて頂いて、ここまで来たか〜!と感慨深げになります。
最近頂いた、「ブルゴーニュ・クローンのみの2005年物ピノ・ノワールピノ・ノワール[b])」は、まだ熟成途上ですが、此方はボチボチ飲み頃を向かえました。(それでも、まだまだ5・6年は持ちます!)紅茶やメープルシロップの様な薫りに伸びやかだけど深みのあるタンニン、サクランボの様な甘酸っぱさと一つ一つが織り重なって奇麗な模様を描く着物の様です。このエチケットが本当にお似合いですわ! ワインの艶やかな色彩にもうっとりさせられます。
こんなに重層的な表情を出しているのは、ピノ・ノワールというブドウそのものも性格もさることながら、「一文字短梢」の生みの親・栽培顧問の小川孝郎氏とご当主の鈴木御夫妻との共働によるトコロが大きいと思います。此方も農家さんとのタッグから産み出した名作であることを考えると、偶然のセレクトがこの文章書いている今になって余計有り難く感じられ、農家さんと造り手にホント感謝しなくてはいけません。(それと、今日頂いたお店にも感謝デス!)
農家さんと造り手に、乾杯!