マスカットの郷の小さなワイナリー〜ふなおワイナリー訪問

高貴な食用品種のブドウ、マスカット・オブ・アレキサンドリアをワインとしても売り出すことが出来ないかという夢の下、船穂町と農協が主体となって2003年に新設された第三セクターのワイナリーを旅行の初日に訪れました。
ワイナリーWebページの記述にあるように、倉敷市船穂町はマスカット・オブ・アレキサンドリアの産地として有名で長い歴史を誇っています。そして、生食用でも付加価値の高い高級ブドウをワインとすることでよりアピールを図ろうという趣旨から出発したのです。
さて、このワイナリー、施設案内

この施設は周辺を含め、一般的な観光施設のように多数の来場やお土産品の販売を目的とした施設ではありません。

と書かれているように、大量生産して儲け至上主義というのでも無く、かといって第三セクターのワイナリーにありがちな「観光ワイナリー」的なものでも無いマイクロワイナリー的な存在で、特産品の高級ブドウを生かすという目的一本に絞った三セクのワイナリーでも異質のたたずまいです。醸造設備を主体に収めたこじんまりとした建物ですが周辺も含め綺麗に整備され、売店も併設されています。
こういったワイナリーですので、あれこれと手を出すこと無く基本的にはマスカット・オブ・アレキサンドリアを使った甘口・辛口を主体に、原料が高価ですが出来るだけ幅広い層に親しんでもらおうと、購入し易さを考慮して商品バリエーションをボトルの容量違い(720・500・360mlの3種)として販売してます。
(生詰め物もありますが最終の瓶詰めで加熱殺菌を施すか施さないかの違い。あと、中口は甘口と辛口のアッサンブラージュ、極甘口は甘味リキュールを添加した甘味果実酒です。詳細はショッピングのWebページ参照。)
 試飲では全商品を頂きましたが、辛口はすっきりとしたのど越しに軽やかな酸味、甘口では果汁の自然な甘みと旨みというように共に親しみ易さを重視し、なおかつマスカット・オブ・アレキサンドリアの果実味と芳香を生かした造りでこのキャラクターは特産品を長年栽培し知り尽くしている歴史故に出来るのだと感じました。
とはいえ、ワイナリーの方は三セク故の悩みも抱えており、更にワインの質を向上させたいにもかかわらず、よくある現場と出資サイドの意識乖離といった本音もチラリと漏らしていたのも事実です。
ワインの質はそこそこでソツが無く、あとは辛口でのボディー感を如何に出すかが課題*1とワイナリーの方は仰っていましたが、私はこの果実味と芳香を生かすような形でより質を上げていって欲しいと思います。
(追記)
高級ブドウ甘さは上々 デパートに初入荷(「YOMIURI ONLINE(岡山版)」より)

*1:ワイナリー担当者に「樽に入れればどうか?」と小生は逆質問されてしまいましたが、私はこの果実味と芳香が命のこのブドウのを樽で損ねるのは勿体無いと率直に答えました。どうも、全く性格の異なるシャルドネの白ワインを意識されてたみたいですが??? 北海道ワインさんのようにろ過で工夫できればよいのですが、香味やボディー感を損ねないかのろ過装置は何分高価なのがネックです。