九州への旅が終わって思うこと。

今回の連休は九州のワイナリー訪問&自転車ツーリングに出掛けてましたが、金融市場と貿易市場の自由化という組み合わせで世界を席巻していた米国流のグローバル経済があっという間に崩れ去った時期と偶然重なってしまいました。(リンク先は、「日経ビジネス・オンライン」)
「米国流自由主義」が終わりとなると、恐らくその反動で欧州流のどちらかというと保護主義的な色合いが濃くなり、幾分保守的になるかもしれませんが、新興国の存在が強くなっている今ではまんま昔の様に過剰な保護政策に戻ることはあり得ないでしょう。また、景気の先行きもハッキリとしません。今回の景気が金融市場の過熱が引き起こした「上げ底」で名目上景気が上がっているように見え、実体とかけ離れていたのですからなおさらです。
そうした時、本当の意味で『地方の復権と自立』がなおのこと求められるはずです。実際、過剰な保護は地方の自立と裏表の存在で、保護の名の下で結果的に中央集権となって地方の分権を妨げてしまいます。
今でこそ、地方の自立と経済の活性化の名の下「地産地消」という言葉が脚光を浴びていますが、今回最初に訪れた大分県はかつての知事平松守彦氏が提唱した『一村一品運動*1の発祥の地で、ある意味そういった概念を先取りをしていたと思います。(但し、平松知事の施政が全て正しかった訳ではありません、、、。念のため。リンク先はいずれも「Wikipedia」)
日本のワイン(これは、ワインに限らず、農林水産業全てに当てはまります。)が地域の地盤の上に成り立っている以上、地方経済とのかかわりは無視できません。単なるワイン愛好家の視点だけで無く、農産業の発展と不可分である以上、技術的な面で科学的な視点から・地域での有り様を含めて考えるという面で経済的な視点からもウォッチし、考えていくことも時には必要なのではないか? 今回の旅では、ワイナリー関係者と会話を重ね、また自転車に乗って地元の雰囲気を肌で感じることで、あれこれと考えさせられました。
今年の夏の北海道遠征と今回の九州遠征、仔細な事情は異なるにせよ、共にワイン産地としては新興勢力であり、厳しい経済事情の中ワインに地域の活性化を托していることから、本州の三大産地(山梨・長野・山形)と比べてレベルは相対的にはまだまだの所はあってもモティベーションでは強いものを感じます。(歴史が短い分、変なしがらみもないことがある意味幸いしてます。)
良きにつけ悪しきにつけ結局は東京一局集中により日本の経済を支えている現状では、こうして経済が荒波に揉まれた時に中央一本足では基盤が危ういものになりかねません。『地方の復権と自立』が必然となって行くことが予想されます。旧来の産地もうかうかしていられません。ワイン産地がいい意味でお互い切磋琢磨出来るようになればと痛感してます。
ワイナリーの詳細な訪問記は随時改めて書き記していきます。多忙につきアップするまでに時間がかかると思いますが、何卒お許しを。
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北海道・奥尻島でワイン工場稼働 来春の発売目指す
(「asahi.com」より)
ワインに地元の復興と経済活性化を托す北の島のワイン造りのレポです。今年の夏、NHKの朝のニュースでも取り上げられていました。

*1:個人的に、地産地消だけでは地域のみの消費に留まり地元の経済を全て支えることが現実的には不可能だと考えてます。(内向きに留まる側面も孕んでます。)観光地とセットの生産地ならともかく、農村や漁村を観光地化して人を呼び込むのは本末転倒でしょう。拙案ではありますが、近隣の観光地で味わう・地方都市が物産の販売のコアとなる等、人が地方を軸足に取れるような社会として成立させる発想の転換が求められるでしょう。そのような点で、『一村一品』は先取りしていたと同時に一つのモデルケースとして評価できると思います。