次はあなたのおうちでお助け本を(笑)

ちょっと足が遠のいてました山梨にて、『第2回甲州種ワインを愉しむ会 Vol.1』が開催されました。

  • 第一部:「ワイン文化の醸成は地場飲用から始まる」
  • 第二部 「甲州種ワインに合う郷土料理を・・・」

という二部構成で行われた今回は、ワインを身近な存在として捉えて貰いましょうという狙いで、ソムリエールの工藤結花さんと機山洋酒工業の土屋由香里さんと勝沼醸造の鷹野ひろ子さんをお招きしての鼎談に始まり、手頃な食材で簡単に造れる実用的かつ美味しいレシピでの料理とワインを頂きませうというイベントです。
ある山登りの本で、

料理とはささやかな創作であり、ちょっとした冒険かも

と云うくだりがあったのですが、小生も料理造りますし(登山では、料理が一つの気晴らしなんですよ。)ワイン飲みながら頂くことが多いことから、ボクは男性女性に関係なく料理造って愉しむことを気兼ねなくすればよろしいんとちゃいます?と普通に感じてます。(以前から大阪の実家では、両親ともそういうスタンスです。流石にオトンは料理つくりませんが。’90年代頭からの大阪産のワインに始まり今では他県産も含め。)そんな訳で、こんなイベントは大いに賛成です。
最初は緊張気味だったお三方の鼎談では、「身近な存在としてこうあるべきだ」といったべき論では無く、こんな事があったら良いなという素朴な提案をざっくばらんに語って頂き、「あ、こういう視点もありやん!」な所もありぶっつけ本番にも関わらず上手くトークがまとまりましたね。
そして、肝心のお料理とワインとを一緒に頂くコーナーでは料理コンテスト『山梨礼賛』で応募された身近な素材で出来るメニューの特選ものを、等身大タイプの甲州ワインの代表格

とで頂きました。本当にご馳走さまです!

何気なく見過ごしがちなことですが、プレミアムなのとは別に、何処の国でも普段の食卓でも合うお酒(ワイン)は大概あります。それが当たり前。
皆さん、是非こちらの『お助けレシピ集』を買いましょう。
山梨礼讃スタッフ通信 : レシピ本発売!!(『ワインと楽しむレシピvol.1』)
(「山梨礼讃スタッフ通信」より)
そして、「asahi.com・マイタウン山梨」では連載が始まります。
12粒のブドウ★お手軽おうちグルメ〜ワインに合うおかず
甲府市Four Hearts Cafeさん(時々私も出没させて貰ってます)を営む大木貴之さん・忍さんご夫妻によるシリーズで、ここでも料理のレシピとコラムが公開されます。乞うご期待。
(鼎談のまとめと頂いたお料理とワインについては「続きを読む」↓をクリック。)
○関連記事
で、こういった選択肢もあります。(2009年1月15日記事)
「甲州種ワインを愉しむ会」に参加して、、、。(2008年2月9日記事。前年の「愉しむ会」です。)
催しでは鼎談が先になりますが、主役は料理ですのでまずは『山梨礼賛』で提案されたメニューを紹介します。

名前はエスカルゴですが、実は地元の名産物白こんにゃくを代用品に使いお出汁をしみ込ませてバターと香辛料でサッと炒めたヘルシーかつ食感を愉しめるお食事です。香辛料にはパセリのみじん切りと胡椒とガーリックを使い洋風に仕立てレモン汁をアクセントに加えてます。バゲットの上に載せてパーティーなんかでワイガヤと頂くのに最適です。バリエーションとしてこんにゃくをイカやホタテにしたり、味付けをバターと香辛料から味噌や醤油を用いたりと応用も利かせられるので困った時のお助けメニューとして相応しいと思います。

  • 塩辛ソースの甲州ピザ

ピザ生地の代わりに、春巻きの皮へ蒸した八幡いも(さつまいもの一種)を潰したのを載せ、そこへこんがり焼いた地鶏と炒めた塩辛とシメジを生クリームで味付けした具をトッピングしてチーズを振りかけてオーブンで焼いた簡単ピザです。いものホッコリ感と春巻きのサクサク感の取り合わせが面白く、八幡いもが甲州種ワインとの相性を引き立ててくれます。塩辛も隠し味になっていてさらにお酒が進みます。こちらは少し捻りが入る分ちょっと手を掛けますが食事の雰囲気を盛り上げる感じのメニュー。「赤ワイン(国内改良等品種)向け」とレシピ集には記されてますが甲州種ワインでもOK!

スモークした沢庵と小梅の梅肉甲州特産のワインビーフ(醤油とお酒、みりんで煮立てて細かく切った)のを和えたちらし寿司で、刻み海苔にクレソンを添えています。梅肉と沢庵を加えているのがミソで、ワインビーフの味がまろやかに感じられます。ロゼワイン向けですが、甲州種ワインにもあいます。ご飯物となるとお酒と一緒にというのは???と思われるかもしれませんが、パン食べながら食事して飲むように、おかず的な主食で軽くお腹を満たすのに造るという提案です。ごはんはお酒飲んだあととかいう観念に捕らわれず食事の一部としてもこうやって潰しが利きますよという見本です。
頂いたワインはそれぞれのポリシーの元で仕立てながらも共に奇をてらわないスタイルの甲州ワイン。片やキレがありながらも程良い余韻の酸でフレッシュな果実の風味を備えた『キザンワイン白*1』とオーソドックスながらも残糖を出来るだけ控えめにし程良い厚みでクリーンな面持ちの『稀種甲州本葡萄酒*2』は今回の催しにふさわしいセレクトです。(どちらも、樽やシュール・リーを売りにして無いのがなお良い)
さて、鼎談では日常頂くのに相応しいワインとしての甲州種ワインがこれから世に認知されていくためにも、ワイナリーが大上段に構えるのではなく分かりやすいアピールの仕方や先入観を払拭しなくてはならないという自戒と共に、甲州種でも色々と試行錯誤してスペシャルな造りを追求したものよりも元のブドウの素地を生かした優れた質のワインを提供して行く事が大切という趣旨でお三方が共通して語っておられました。勿論、「スペシャルな甲州ワイン」もあってもそれはそれでよいのですが、小生長年思うに甲州種のワインが根底にあるスタイルを収束させつつも個々のワイナリーの「味」をいかに加味してリーズナブルながらも質を向上させて行くかが今後の課題であるように考えています。この辺りは、2月開催のVol.2にて改めて取り上げたいと思います。

*1:とにかく常にバランス重視で、基本の骨格は通年保ちつつもその年の甲州種の果実の風味を素直に隠す事なく良い持ち味へと転化させるのがキザンワイン白の真骨頂です。2007年産のは酸味が特徴的です。今でも美味しく頂けますし酸味が利いていて長持ちするタイプとなっているのでもう少したって熟成してから頂くのも良し。

*2:古典的な甲州ワインを現代風の洗練させた辛口に仕上げてます。程良いふくよかさと旨味を持ち合わせ、2006年7月2日の記事で取り上げたかつての「アルガーノ・ボシケ」を引き継ぐスタイルです。現在のボシケがアルガーノブランドとして市場の嗜好に合わせ口当たりを軽やかに改良していて以前とは変化していますが、いい意味でのオーソドックスさを持っているのは此方。小生はこちらをお薦めします。