で、夜は井戸端でワインを片手に、、、。

そして、ざっくばらんにワインを愉しむことを演出する人でこの人の右に出る人はそうそういない、おらが甲州市の酒屋さん、新田商店さん(「勝沼ワイン情報」も宜しく!))の「ワインを語る会」。(大好評なので、2月も毎週末開催されます。是非一度行ってみましょう!)勝沼ぶどう郷YHの人気行事です。
くだけすぎて居酒屋みたいに「飲めー!」というのでもなく、ちょっとしたためになる掛け合いや余談も聴けますよ。
山梨のワインに愛情持って接し、
「日本のワインを持ち上げすぎず、楽しくも冷静に長い目で見て欲しい。」
と語る旦那の新田正明氏。(小生の『三大マスター』の一人。大変お世話になってます。)褒めちぎるのでもなく、ただ貶すだけでもない、素直に良いところいけないところも懐広く捉え、まずは飲んでみて「自分なりの言葉で構わないからしゃべって見て下さい」と語る姿勢にいつも小生頭下がります。手に取った一本が気に入ったものであるような質の品々を値段問わず揃える事が信条でお店を営まれ、ワイナリーの方々の信頼を得ています。
今回は、以前小生が訪問させて頂いたマルサン葡萄酒(2007年10月21日訪問)の跡継ぎ(なんと、最近郷里に戻り後継となったのです!)の若旦那さん(20代半ば!)が来て下さり一緒にあれやこれやと語らいました。頂いたワインはこちら。(↓)


かしこまったワイン会でも出てこないかも(笑)。え、写真だけでは分からんって。
頂いた順に振り返りたいと思いますので、詳しくは「続きを読む」↓をクリック。
○『クレマチス・橙(2008)』『ローズ・赤(2008)』(四恩醸造
実は、間もなく1月31日に四恩醸造の小林剛士氏が湘南方面にお見えになります。その催しに小生参加しますが、これら二点は改めてその時のレポートにて取り上げます。(正確には、『ローズ・赤』は白ワインを一通り頂いた後で、『タイムワイン』の前という順です。)特に、『クレマチス』はある意味ラムネ感覚でゴクッと頂くのにピッタリ。飲みやすくとも、奥が深いのが四恩さんのワイン。なかなか手に取る機会が少ないのが玉に傷なんですよねぇ〜。
○『ゴールドワイン甲州(2008)』(新巻葡萄酒・リンク先は「山梨日日新聞」のやまなしワイナリーめぐりのコーナー)
今回の会に登場した勝沼のマルサン葡萄酒さんと同様、勝沼近隣の地元・笛吹市一宮町の家内制手工業による「じぶんち」のワイン。でも、成城石井さんとお取引きもあるという知る人ぞ知る通のワイナリー(と、いうか葡萄酒醸造元)。
「なんも特別なことしちょらんけ」(「と、いってたよ。」と新田さん談。甲州弁の積りで台詞書いたのやけど、これでよろしいんですか?)と語るようにココのは後で出てくるマルサンさんと同様特別な造りはしていないすっぴん甲州。でも、薫りは柑橘系のがちゃんとします。イメージで云うと勝醸さんの『イセハラ』と同じ*1薫りで、味が大泉さんの香り甲州・辛口 *2と甘口を足して二で割りつつ辛口寄りに仕立てた感じ。だから、軽やかながらも厚みがあり程良い飲み口です。まさに、「ゴールド」な掘り出し物!(笑)
○『甲州・百(2007)』(マルサン葡萄酒・リンク先は「山梨日日新聞」のやまなしワイナリーめぐりのコーナー・写真は上に掲載)
まさか、ココで跡継ぎの方とお目にかかれるとは思わなかった今回のもう一つのサプライズ。で、わざわざ持ってきて下さったのが以前小生も頂いた事もあるマルサンさんの『美和久保 甲州・百』の2007年産です。
自家の畑の甲州100%という意味のネーミングで、畑の所在地である「三輪窪」に引っかけているのです。素朴な古き良き甲州のスタイルは変わらず。(ちょっと今回のは糖分が多めだったかな? 前の2006年産の方が個人的にはちょうど良いぐらいの隠し味的残糖です。)沢庵との取り合わせが絶妙でした!
○『シャンテ Y・A Grand Ordinaire Blanc (cuvée nitta)(2006)』(ダイヤモンド酒造
名前の通り、新田さんとの共同プロデュースでリリースされた、108本限定の通称『煩悩ワイン(苦笑)』。『Ch(2006)』と小生がダイヤモンドさんの中で最も好みの『ひしやま甲州(2006)』とをアッサンブラージュしたものです。(しかも、日本酒で云う所の「下取り」の濃〜いところを。)メルシャン勝沼ワイナリーさんの『シャルドネ&甲州(無濾過品・料飲店のみで一般販売されていない)』がガチガチの骨格でしっかりしてるけど取っつきにくいのに対し、こちらは芯がしっかりしているにも関わらず辺りがまろやかです。と、いうか、煩悩を取っ払ってくれます。(笑)
○『タイムワイン(2003)』(機山洋酒工業
最後は、昨日も頂いた機山さんのこちらは赤ワイン。バックヴィンテージの入手が困難な機山さんのワインで過去のを頂くのはとても難しいのですが、今回はその貴重な機会に恵まれました。もうこれは新田さんに大感謝です。
メルロ、カベルネ・ソーヴィニョン、ブラック・クイーンのアッサンブラージュと云うと、そう、あの銘作『ファミリーリザーブ』に相当するお品です。熟成で果実の風味が溌剌とした状態(この時も美味しいのです)から贅肉が取れ、旨く腰のしっかりした赤ワインの見本です。まだ、熟成途上なので若干青臭さが残ってますが、あと2・3年寝かせて置くと今度は間違いなくより美味しく頂けるでしょう。まさに、名前通り「現在進行形」の蛹状態のワイン。
さてさて、こうした滅多にお目にかかれないワインもありましたが、今回はやはり甲州種のワインに目が行ってしまいます。『クレマチス』『ゴールド』『甲州・百』スタイルは一味だけでは違う様に思えますが、いずれも根底に流れるのは繊細ながらもふくよかさを漂わせた甲州の良さが表れていること。前の記事の『キザンワイン白』と『稀種甲州本葡萄酒』もそうですが、かような変にいじらない甲州種ワインの良さを再確認出来た事も良かったです。
新田さん、本当に有り難うございました!

*1:実は、新巻さんの甲州の畑が『イセハラ』の畑の近所。

*2:残糖切って大分辛めにしているので少し薄口でさらっとしてます。