見て来たかのように言うな!

どうも文系(本当は二分法でカテゴライズするのはいけないのですが。ここでは便宜上。)の人間は「論理的で重層的な思考」をせず、一段階の「思いつき」で全てを語ってしまうのでしょうか???
東洋人は西洋ワイン用語を理解できない?!
フォレスター社のワイン総合情報サイト「WINE21」トピックスより)
記事を見て、前半の所はまぁ納得出来るとして、問題は「たとえば、、、」以降の後半。

たとえば、 
「東洋人のなかでも、日本、香港、シンガポールのワイン愛飲家は、熟成した高品質ワインの繊細な成分を好みます。それは、“控えめな味わい”が、アジアで珍重されている食材である、“ウニ”、“神戸牛”、“フカヒレ”に共通しているからです」。
さらに、 
「東洋人にとって、赤ワインのタンニンをどこまで受け入れられるかどうかは、“紅茶を定期的に飲んでいる”、あるいは、“朝鮮人参、ダイコンの苦味に慣れているか“、などによって変わります。」なんてものも。

まず1点目、「“ウニ”、“神戸牛”、“フカヒレ”の味わい」を控えめな味わいと一括りにしている所。それと、2点目「赤ワインのタンニンをどこまで受け入れられるかどうかは、“紅茶を定期的に飲んでいる”、あるいは、“朝鮮人参、ダイコンの苦味に慣れているか“」と云う論理の飛躍。これが、小生にしてみたら「ケッタイな」話である。
前者に関しては、それぞれに異なった味わいがあり、しかも神戸牛にもピンからキリまであるあることを考慮していない。フカヒレも、香港で頂くのと横浜の中華街で日本人向けにアレンジした調味のとでは印象が異なる筈。
後者は、問題外。赤ワインのタンニンは確かに「苦み(と、いうか「渋み」ですね。)」だが、ダイコンは「辛み」の成分でしかもタンニンとは化学的に全く異なる物質である。
「東洋的味覚でワインを解釈するって、西洋的味覚とこんなにも違うんです」
と意気込みすぎたばかりに、このような解釈がまかり通るのは、目も当てられません。(『マスター・オブ・ワイン』の実力ってこんなもんですか? 苦笑)「頭で飲む必要の無い」嗜好品のワインを生半可に「頭で飲む」からこういう事がおこるのでしょう。もし、本気で頭を使って飲むならせめて化学や物理・生物といった理科の基本ぐらい覚えておいて欲しいものです。
記事の末尾に

同じ東洋人同士でも、普段食べているものが違えば、おいしいと感じる味覚も違う。そんな人々を「東洋人」としてひとくくりにし、西洋文化の極みであるところのワインを理解していくのは……2世代どころかもっと掛かっても仕方がないかも。

とあるが、日本には『日本のワイン』がある。もし、日本のワインが国内は勿論のこと海外にもうわべでは無く「正しく」認知されれば、西洋文化の極み」という考えを覆す可能性がある。そのためには、日本の風土(土壌と気候)にマッチした栽培技術が確立され、日本ワイン関係者が正しく理解し・実践して行く事が最大の課題*1で、最近の情勢からすると可能性は大いにあると小生は確信しています。

*1:逆に言うと、そういった共通認識を、ワイン関係者だけでなく、販売・飲食業、そして消費者が持っている事が重要。