お客様を大事にすることを忘れたカナリア

公正取引委員会コンビニエンスストア最大手のセブン−イレブン・ジャパンに排除措置命令を発令した件ですが、結局フランチャイズをカモにして本部がのうのうと楽して巻き上げるシステムが露呈して来た事に尽きると思います。(利便性と云うが、実は「お客さん」の事はあまり眼中に入っていなかった実情が垣間見えます。)当初は24時間営業と云う利便性で訴求していましたが、町の「よろずや」が失われコンビニがその欲割を担いつつある今では、現場の裁量でお客さんに対していかに接して行くかが問われる様になって来ています。そこでは、当然市場経済の論理が重視される訳で、本部の商売の意向を忠実に反映させる統制経済的論理とは自ずと異なって来ます。即ち、利便性重視にのみに目を奪われることなく店舗を預かるオーナーが自覚を持って店を預かるのは当然の成り行きで、適正量納品して貰ったにも関わらずやむを得ず廃棄しなければならない分をコスト転嫁すること無く利益として計上しなおかつ期限切れ間近のを承知して安いのを購入する事は、消費者との利害が一致している訳でそこには何の罪もありません。むしろ、再販売維持の拘束が及ばない食品の分野にまで拡大解釈して値引き販売を禁止するのは、法律的にも問題があるだけでなく・経済的な面で損失を出しているところも問題です。
もちろん、現場の裁量が拡大しすぎて暴走する部分最適(つまり、店のオーナーが安売りで気を引くために適正販売量を無視して仕入れを行い、自爆するのはコンビニオーナーとして失格。)に陥るのはもってのほかですが、だからといって全体最適だけに目が行って「会社の論理=社会の論理」と勘違いして圧力をかけるという事も奇妙な話です。
「単に廃棄されるから勿体無い」だけでなく、コンビニの規模拡大を優先して「市井の消費者」という視点を失って行った過程を振り返りつつ、法律的にも経済的にもこの件は多面的に検証して是正して行くことが重要ではないかと思っていた所に、何よりも「お客さん」不在のまま、FCの食品廃棄コストの15%を本部で負担となし崩しに決まったニュースが飛び込んできましたが、これでは問題の本質から逃げているのではと率直に感じざるを得ません。
○関連記事
クローズアップ2009:公取委排除命令 揺らぐコンビニ商習慣
(「毎日jp」より)
【高田直芳の「ITを経営に役立てるコスト管理入門」】フランチャイズのロイヤリティ問題を探れ
(「日経BP・ITPro」より)
(追記)
一連のニュースに関してはYahoo!ニュースの「トピックス」のバックナンバー
 http://backnumber.dailynews.yahoo.co.jp/?m=206344&e=seven_and_i_holdings
 http://backnumber.dailynews.yahoo.co.jp/?b=1&t=d&e=seven_and_i_holdings&ey=1
にて各種記事やニュースリリースへのリンクが掲載されています。ご参考までに。
(さらに追記)
セブンイレブンの一人勝ちと言われて久しいコンビニ業界ですが、他にもうかうかしてられない事情も浮上して来ています。
セブンイレブン、Edyに陥落 不況下に負担を強いる新インフラ
(「『日経ビジネス』オンライン」〜時流超流〜より)
セブンがブランド力を過信していて、せっかくの「機会」を逃した事はこのように後を引く結果になっている模様です。「コンビニのビジネスモデルの本質は『小売りではなくメディアとしての価値を求める』ところにある。」と力説しているのをあるBlogで見たのですが、「メディアとしての価値(←なんじゃそれ?とツッコミ入れたくなる。苦笑)」というあやふやなブランド力を過信しすぎているなぁと小生は思います。
そこで、一句。
『ブランドも、魂無ければただの名前』