先日岩の原葡萄園さんにお邪魔させて頂き、川上善兵衛翁の記した文献を直に目を通し、史料をとくと確かめる事で「一次資料」を見る事の重要性*1を再確認できた訳ですが、冨永先生の伝記を読むよりもご本人の著作がこうしてあるのだからそちらを読む方がよっぽどためになります。
そんな訳で、冨永敬俊氏の著作を紹介します。
『アロマパレットで遊ぶ―ワインの香りの七原色』
ワインをたしなむ時に薫りは大きな要素を占めます。官能的な薫りにはうっとりさせられますよね。そういった薫りのお話を感性だけでなく論理的に知る事で、より奥深くまた多面的な見方で観察することが出来るようになり、独りよがりの観点ではなく普遍的な原理原則に則った理解が促されます。この書籍ではとても深遠な「ワインの薫りの世界」を平易な内容で記しております。入門者からワインで職を立てている人まで、全てに通じる有り難い内容です。
『きいろの香り ボルドーワインの研究生活と小鳥たち』
こちらの著作は、以前の小生の記事でも触れたお勧め本です。内容は研究内容を綴ったものですので化学関係の専門的な用語が出てきたりしますが、それ以外でも冨永先生の現地での日常生活の喜怒哀楽や、かの小鳥の名前の由来など多くの話題が事細かに、“ご本人の言葉”で記されています。氏の功績と人となりを深く知るのでしたら、この書籍の右に出るものはありません。
(追記)
「アロマパレット〜」の本の中(124ページ)で、楽しいパーティーの時についつい職業病で、ちょっと勘違いしている「自称ワイン通」の人を科学的な解説でたしなめようとしたのですが、場をわきまえて敢えてグッとこらえた描写がなんとも微笑ましいです。(苦笑)