課題を抱えたままの“船出”なのは事実

同じ日に全国高校サッカー選手権山梨学院大付属高サッカー部が優勝パレードしたニュースが大々的に報道されたこともあり霞んだ感がありましたが、先日甲州ワインの海外でのプロモーションが英国にて行われました。
「和食に合う」味と香り好評 甲州種ワイン、英国で知事らPR
とはいえ、この華々しい話題に先立つこと3日前。同じ新聞で下記の記事に記述される通り厳しい現実も、、、。
甲州種ワイン販促で知事ら渡英 和食ブームに乗り欧州本格輸出へ
リンク元は、上記2件共「山梨日日新聞Webサイト〜みるじゃん」より)
産地を支える基盤である「ブドウ栽培」に関して冷静に観てみると、下支え出来るだけの体力・技術力に関して相応しいものがあるかと云えばお世辞にも自慢出来るものではありません。「育成支援事業に選ばれた」とありますが、本当に『育成』しなければならぬものは何か?大事なことは何か?と問われれば、現実をよく知る者なら答えはおのずと明らかです。
とりあえず短期的に目先を何とか繕うことも必要かもしれませんが、このBlogを書き始めた頃以来小生が一貫して唱えているように(全てを網羅するのは大変なので過去の参照記事は載せませんが、Blog一通り目を通して貰えれば有り難いです。)、改めてこれを機会に長期的視点に立ち今一度真摯に考えることが何よりも大切である。そういった想いを噛みしめる出来事でした。
○関連記事
ワイン原料不足 メーカー“苦汁” 甲州種ブドウ 不作続き 安定供給へ決め手なく
(「山梨日日新聞Webサイト〜みるじゃん」より)
白ワインブームの影で甲州種ブドウ入手難
(「asahi.com・マイタウン山梨」より)
甲州」種の問題はある意味日本の諸問題の縮図 (その1)(その2)
(2009年2月28日小生記事)
前略、盆略様へ、そして日本のワインが好きな皆様へ、、、
(2006年12月4日小生記事)
「本当に「成熟商品」になったのか?」 この事も改めて考える必要があります。
[追記(2010.1.18)]
私自身が、あるBlogにて、KOJ(Kosyu of Japan)に関するエントリーでコメントした内容を引用して、この記事の締めとします。やはり、「おらが県のワイン」と正々堂々と胸張って自慢出来るだけのものでありたい。

世界のマーケットで認知されているワイン産地において、決してブドウ栽培を疎かにしている例は、見当たりません。消費者への信頼を築き、産地の人々が共感しうる真の地域振興が促されるためには、栽培・醸造の両輪が噛み合ってこそなのでは?
今が、「ワイナリー」だけが盛り上がっている旧来の歴史から山梨が脱却出来る最後のチャンスなのかもしれません。
自らが手を汚さずに「もの造り」の矜恃を示すことは、あり得ません。エンジニアが自らの製品に確信を持って出せたからこそ、日本の工業製品があれだけ興隆したという事実を踏まえると、私は甲州種のワインのクオリティーが世界のそれと胸張って紹介出来るだけのレベルにはまだまだ達していないと思います。
本当に「基盤整備の重要性を認識」しているのならば、「環境整備の重要性も同時に認識」してなければなりません。