「ワイン認証制度」、施行へ。

過去の記事で、甲州市で「ワイン認証制度」が制定される予定、と取り上げましたが、成文化され施行に至りました。
甲州市原産地呼称ワイン認証制度が始まります。
甲州市Webページより、8月23日付リリース)
詳細は、市の特設Webページを参照して頂きたいのですが、栽培サイドへの還元や、『原産地呼称』と『ワイン評価』の分離*1の所はともかく、上記過去記事で考えていた望ましい内容に近い形なのではと小生は捉えております。
将来はこの制度を範に「山梨県のワイン」を包括して保証する制度へ発展させる動きになるかと予想されますが*2、まずは、甲州市での先行事例を基に、産地形成を確立させる道標となるべく、栽培サイドへのインセンティブ(販売価格に占める割合や還元の仕方など議論すべき所はありますが、何らかの形で栽培の底上げに結びつける方向が望ましいです。*3や、『原産地呼称』と『ワイン評価』の分離を盛り込んだ先進的な制度へと昇華させて行って欲しいと思います。

*1:何故、分離を提唱したのには理由があります。それは、原産地呼称は「原料ブドウの出自の保証」であって旧世界のワイン法のような「格付け」ではないからです。格付けでヒエラルキーを構築するのは、階級社会の産物による自産地の優位性の誇示(いわゆる、“マーケティング”)であって、トレーサビリティーの確保による出自の保証とはそぐわない物になります。
それと、過去記事でちょっと触れましたが、原産地の保証と品質チェックの官能評価は異なる評価軸なので、【産地の明示】+【評価の表示】を分ければ(例えば、前者はラベルで、後者は別刷りシールで表示。)、消費者にとって判り易くアピールポイントになるでしょう。

*2:甲州市の制度が山梨県の制度として発展していけることを念頭に置いています。”(原文より管理人が引用)と『甲州市原産地呼称ワイン認証条例の概要』に記されている(市の特設Webページにリンクが掲載。但し、リンク先はWord文書なので要注意。)ことから、いずれは県の制度として確立されることを前提にしている模様。

*3:栽培・醸造・消費と、関わるところ全てにバランスよく恩恵を受ける制度設計を行う事が重要だと小生は考えております。