山形視察・1日目

まずは初日、8月7日の訪問記です。
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山梨からバスで一路向い、まず訪れたのが月山ワインさん。こちらは、JA庄内たがわを経営母体とするワイナリーで、地元特産のブドウ(山ブドウと甲州)を主に用いたワインを生産しています。
ワイナリーの歴史にあるように、製造開始は1979年(昭和54年)。丁度その頃は、「一村一品」運動が盛んになった頃で、その機運に乗り遅れるなということで、地元特産の山ブドウをワインとして造り出そうとしたのがキッカケです。
ワイナリーは、道の駅・月山に併設されている、全国でも他に類を見ない物になってます。また、貯蔵庫が川向いに吊り橋を渡った所にあります。
まずは、畑を見学。JA庄内たがわ管内で100件超の栽培農家(組合員)が栽培しており、ワイナリーから車で約15〜20分程下った庄内平野の縁の所に圃場が散在してます。山ブドウは垣根式が殆どで、独自の仕立て(長梢と短梢を織り交ぜたオリジナル)により樹冠を形成させています。水田であった区画をブドウ畑に変えた所もあり、そうした所では暗渠など排水を施したりするなど、ブドウ栽培に適した環境にするよう基盤整備が行われています。
そして、もう一つ特筆すべきなのが甲州種。250年前に庄内藩から山梨由来の苗木を授けられた事が起源とされ*1、西荒屋地区(鶴岡市)にて現在は栽培されております。(上3つの写真の右端が棚下でのショット)
ここの甲州は棚により自然形の長梢仕立てで栽培され、掲載しました右写真のように、雨よけのビニールによる被覆が施されております。糖度は毎年Brixで20度を超え(果汁で18〜19度)、酸度は6〜7g/Lをたたき出すとのこと。収穫は大体10月20日前後になるそうです。この甲州で造られた『ソレイユ・ルバン 甲州 シュール・リー』は2007年以降、国産ワインコンクールの常連ワインとして入賞しており、2007年産のでは銀賞を獲得してます。


畑の見学の後は、ワイナリーに戻り川向いの貯蔵庫を拝見しました。貯蔵庫は旧国道のスノーシェルターとトンネルを改造したもので、夏場でもひんやりとして保存に最適な環境になっています。
月山ワインさんは、山ブドウと甲州・セイベル9110(白用)で低価格帯を中心にお手ごろなワインを多く販売してますが、最近はヤマソーヴィニョンとカベルネ・ソーヴィニョンをアッサンブラージュした『ソレイユ・ルバン ルージュ』やヤマソーヴィニョン100%のロゼ『ソレイユ・ルバン・ロゼ』といった意欲的な製品もリリースしてます。これらの商品も含め、ソレイユ・ルバンシリーズは今後注目といえるでしょう。

  

午後は、上山のタケダワイナリーさんへ伺いました。こちらは、2度目の訪問になります。先日の山梨学院大のワイン講座で講師を務められた岸平典子社長が、一行を出迎えて下さりました。
既に記しましたように、15haの自社圃場を有してますが、これらの殆ど(6割程)が斜面に存在していてしていることから、農業機械より手作業中心で、従業員が日々その世話で奮闘しています。これらのブドウの多くは、『シャトー・タケダ』やドメイヌシリーズの原料用として用いられ、欧州系専用品種(シャルドネ、メルロ、カベルネ・ソーヴィニョン等)が平均樹齢20年程で垣根式、交雑種(マスカット・ベーリーA *2 とブラック・クイーン、全て古木)が棚式で栽培されてます。
醸造場ではタンク類・貯蔵庫・納品された県内の契約農家産原料ブドウを保管する冷蔵倉庫がそれぞれ存在し、中堅どころではありながら、大きな棟の建物になっています。


最後に、ゲストルームでは、ワインの試飲が行われました。今回振る舞われたのは、

  • サン・スフル白(2010)
  • 蔵王スターワイン白・辛口(2010)
  • ドメイヌ・タケダ ベリーA古木(2009)
  • シャトー・タケダ赤(CUVÉE 039・2007)

の4点。詳細は、7月30日の記事に譲りますが、デラウェアメインの蔵王スターワイン白・辛口(年によってベーリーAもアッサンブラージュ。2010年物はデラ100%)はデラらしくない本格派でありながら飲みやすいワインとして上出来だと思います。


夜は、赤湯の温泉街に宿泊しました。続きは翌日の記事をご覧下さい。

*1:『広報つるおか(平成19年6月1日号)』(http://www.city.tsuruoka.lg.jp/koho/070601.html)にも記されています。

*2:前述のように、その樹齢は平均70年。