まさか先を越されるとは、、、

最近はサッカーW杯がらみの話題ばかりで某国蹴球協会のドタバタ劇で憤慨しまくっていた所に、びっくりするニュースが飛び込んできました。
 「ドイツの甲州」(情報元=【盆略ワイン倶楽部 ブログ篇】)
詳しい記事は山梨日日新聞の「朝刊ヘッドライン7日間」の6月24日の記事に掲載されてますが(7日間経つと消えますのでお早めにご覧あれ)、4年も前からの取り組みということから、「デュブKOSHU」や「きいろ香」が出るよりもはるか前ということになりますね。しかも、ドイツ政府も輸入に許可を出すなど国のお墨付きでなされていることと、異国の品種を垣根仕立てでの栽培でコレだけの短期間で成されたことに関しては驚きを隠せざるを得ません。
さて、私は4月11日の記事で、「デュブKOSHU」について『これでは、フランスで甲州種仕込んだのとなんら変わりない訳で、決して本当の「日本ワイン」では無いと思います。』と書きましたが、国違いとはいえ、危惧していた事がホントに起こった訳で、甲州種に見切りをつける派と甲州種にこだわる派の相克があり逡巡しているよりも、小手先の醸造技術ではなくブドウそのものからの底上げを山梨といった枠内に拘らず、日本でも甲州種を栽培している各地の産地と連携して地道に行うべきとの持論を4月11日の記事6月6日の記事で展開していたボクにとっては、正直「ヤラレタ!」と思いました。
記事中では「甲州種の素晴らしさを見直し、業界がより一層本腰を入れて甲州ワインを造るきっかけになれば。」とありますが、こういう事が起こると国内で真面目に取り組んできたブドウ栽培農家の神経を逆撫でしないかということが気になるのと、あくまでもドイツでの栽培ですからこの技術をそのまま日本へ持ち込んでもそれこそ「テロワール」の違いから全て参考にはならないでしょう。もちろん、「デュブKOSHU」や「ドイツの甲州」のワインそのものには罪は有りません。私が問題にしているのは、そのワインがどういう背景の元で生み出されてきたかということです。
我々飲み手にとっては、山梨の中での利害関係がどうだこうだは関係有りません。山梨原産だけど『日本のワイン』なのです!しかし、現状を見ると、日本古来の甲州種に対する誇りが肝心の日本国内で収斂されず崩れつつあると、ワイナリーや農家巡りをして正直私の目には肌でそう感じるのです。(もちろん、明るい話題も無いことは無いのですが、、、。)結局、結果としては甲州種のワインだけれども、「デュブKOSHU」や「ドイツの甲州」はあくまでも外国の手によるもので、ややもすると「醸造も栽培も外国の方が技術が上やから丸投げしてしまえ。」という風潮を生みかねないのです。で、最後には『空洞化』を招く恐れがあります。
ツマラン目先の都合でワイナリーや農家、飲み手のベクトルがバラバラになるよりも建設的に意見を集約し、「甲州尊重派」「甲州断念派」の二元論ではなく、まずは全てのワイナリーがキチンと農家と連携し、カベルネ・ソーヴィニオンやメルロ、シャルドネといった国際品種から勝負し、日本古来の甲州種をじっくり磨き上げて世界に問う。そういった形で、兎に角消費者にとって「感動を与えるワイン」を届けるのが先決です。そして、足固めをしてからワイナリーが個々の性格を『個性』としてワインに投影させていけばよいではないかと私は考えております。
『お客様(サポーター)は神様です』と偉ぶるのもそれはおかしいですが、心ある市井の消費者(サポーター)はシビアに見てますよ。舐めてはイケマセン。何にせよ協会の醜態で揺れるサッカー界のお寒い現状と、日本ワイン界の現状が見事にオーバーラップしてしまいます。
しかし、日本はどうして『建設的な取り組み』が苦手なのでしょうか?無駄な金や時間を消費することなくもっと効率よくできるのに、、、。
あー、また血圧が上がりっぱなしです。
(スミマセン、テンパッテばっかりで。傍から見ると歯がゆい話題ばかりで。でも、このやるせない想いを何とか正の方向に向けたい。僕の願いはただそれだけです!)
●参考記事
ブルゴーニュ魂 - WINE DRINKING REPORT」の、『2005 万力甲州 朝焼 金井醸造場』の項
(追記)
最初にアップした文書ですが、論旨が不十分な面が見られたので一部手を加えました。
それにしても、成果が出るのに5年・10年と要することからこそ、今正論と向き合い明確な方針の元で前向きに取り組まなければ遅きに失することに成りかねません。もう、抜き差しならぬ所に来ている。そして、それは我々飲み手にも問われているのでは? 私はそう思います。