解析で分かること、『それだけが全てではない』。

科学による様々な分析結果は一つの指標をもたらします。が、、、。
コシヒカリ:先祖はまずいコメ 粘りの源のDNA解析(「毎日jp」より)
このように、遺伝子レベルで多様な品種の混交から自然と有用な性質が出現するのです。(と、言っても『人間に都合の良い』性質ですが、、、。食用に供される農作物は長年の歴史の過程で育種選抜された結果です。)
しかし、『遺伝子組み換え』作物のように都合の良い部分だけ取り出してパズルのように組み合わせて「凄いのが出来た!」といっても、病気に弱いとか生育に手間がかかるようでは無意味なのです。
単に【遺伝子組み換え】で感情的に拒絶するのでは無く、冷静に判断してこういった背景も理解すると、日頃頂いている野菜や果物に対し「目配せ」が出来るでしょう。
以前紹介した、『ブドウ・ワイン造りの賢人の本』で触れられている賢人氏がこだわった「マッサル選抜」が実は先人の経験に知恵が融合した優れた方法の一つなのです。同じ畑に同じ品種でも多様な性質のを植えることで、単に美味いだけでなくより複雑性が表現され、栽培でもリスクの分散が図れます。*1

*1:ブドウだけに限らないのですが、同じ品種の中にも「クローン」と呼ばれる微妙に性質が異なる個体があります。例えば、かの有名な【ピノ・ノワール】という品種は結構多様性があって、クローンによって、実付きが良い・頑強・味とかの様々な要素が異なります。とある映画よろしく(苦笑)土地や栽培条件に応じて優れた単一のクローンを植栽することを「クローン選抜」と呼びますが、全て同じ系統となり純化されてしまう。これに対し、「マッサル選抜」では畑の区画に多様なクローンを植栽し、その中で育ちの良い株(様々なクローンが含まれ、しかも区画の場所に拠って残るクローンは異なって来る。)を取捨選択していく。手間は掛かりますが、「一発決め打ち」では無いのでローリスクとなり、いろんな変動に対しても安定した収穫と品質を見込めます。農業は、ハイリスク・ハイリターンの追求も宿命づけられた投機モノとはちゃう側面です。もっとも、冷静な判断が必要なのと日々の動きにくまなく気を配る点は共通してますわ。