今度は、甲州で考察

さて、面白い投稿(日本ワイン応援Webページ、『ぶどう畑』より)があったので自身の体験を重ね合わせて、再考してみました。
関東に移って甲州種のワインでカルチャー・ショック受けたのが、『厚みを得るために樽を使う』業。いやぁ〜、これにはビックリしました。大阪で長年甲州種に親しんでいると、そういう概念が無かったので正直最初は違和感と同時に仰天しました。今では樽の使い方も上手になりましたが、やっぱり甲州は樽無しが品種の長所を生かす上で一番。
前置きはその辺にして、本題に戻ります。
<2005ミレジムと2006ミレジム>
大雑把にいうと、2005年は日本では普通の部類に入るのに対し、2006年は冷夏で散々の年というイメージです。
しかし、気象庁過去の気象データー検索を見ると一概にはそう括れないことが分かります。気温の推移を見ても、大阪(堺→注:大阪市内ではヒートアイランド現象の影響を考慮、柏原や羽曳野近傍の八尾はアメダス日照データーが無いので、堺で代用しています。)と勝沼はそれ程差が無い。また、気温だけでは言うほど「冷夏」ではありません。(個人的には、2003年の方が冷夏のイメージがあります。)
面白いのが、日照量と降水量の推移の年差。
'06年の7月の数値に関しては「冷夏」を反映しているのはほぼ同じ。ですが、勝沼と大阪で8月・9月の日照量と降水量の上下関係が'06では逆になっています。(グラフは黄色地が堺、水色地が勝沼気象庁データーを元に作成。)
大阪(堺)気象データー('05&'06)勝沼気象データー('05&'06)
品種の熟期は一般的傾向として

です。大阪は2週間程早目と考えてください。(これまでの見聞から。長野や山形は割愛。)
甲州に絞って話をしますと、'06年は最期の追い込み(8月から9月、ベレーゾン期)の天候が大阪では以外に順調なことが分かります。(日照量も降水量の低さも半端ではない。逆に'05では相対的に勝沼が良い。)で、9月は並に戻り過熱して酸が抜けるぎりぎりのところで踏みとどまっていると解釈できます。(実際、デラ・特に大阪は結構つらい出来でした。)
確かに、大阪の'06ミレジムの甲州はとても美味しいです。2005年より出来が良いと思わせるのはそう言う事かもしれません。
●関連資料
気象庁・平成19年報道発表資料『2006年(平成18年)の天候
(今日はココまで。薫りや風土の違いによる滋味(≒テロワール)の話はまた後日に続く。)