今年を振り返って〜印象に残ったワイン。

Blogを書き始めてまだ1年経過してませんが、今年はワイン関係で色々な繋がりが芽生え、そのお陰で多くの造り手との対話を楽しむ事が出来たと共に、いろんな日本ワインを頂きました。そんな中で、印象に残ったものを振り返ってみました。
○『甲州新酒・辛口(2006)』(カタシモワインフードさん)
本Blogでも盛んに取り上げた、高井社長が研究に研究を重ねようやく製品化に結びつけた堅下本ブドウを用いた本格辛口ワイン『甲州葡萄辛口(2005)』。小生が最も待望していたワインだっただけに、素直に嬉しかったです。まさに故郷の自慢の逸品です。
そして、今年の新酒でも辛口版が初登場! 「まだまだこれから」と仰っていた所に届いたこの新酒。より磨きをかけて「きいろ香」ブームに始まる柑橘系甲州ワインの中にあって、他と一線を画す芳香と味わいはまさに紛れも無く「堅下」の味です!
○『キャネー甲州 万力山(2006)』(金井醸造所さん)
先鋭的で、甲州種の姿を何のためらいも無く素直に表現した『万力甲州・朝焼(2005)』も印象に残る度合いは強烈ですが、「集大成」という意味で敢えてコチラを選びました。
「朝焼のリリースを経験し甲州種を真に愛する事が出来た。」という意味のコメントを12月のワイン会で語っておられた金井一郎氏、その氏が今考えうるワイン観を甲州種を通じて垣間見た小生は、当主を受け継いでからこれまで山あり谷ありの経験の中から一つの境地にようやく辿り着いたと実感しました。それと同時に、金井氏本人から語られた更なる未来像を耳にし、わくわくどきどきさせられる『物語』がまだこれからも綴られて行くかと思うとその志には感服する他ありませんでした。
○『Sogga pere et fils 小布施ルージュ特別ヴァージョン クラシック・カベルネ(2005)』(オブセワイナリーさん)と『Beau-Paysage、La Montagne "Trans"(2004)』(Beau-Paysageさん)
あくまでも個人的な意見ですが、『自然のあるがままの営みを謙虚に受け止め、それに対し真摯に考えて造り手なりの考えと想いを基に小細工なしにありのままを打ち出したワイン』として、2006年11月5日に取り上げた二つの作品には造り手が格に関係なく丹精込めて作り出した逸品として、そして「素直に旨いなぁ〜」と感じいることしきりでした。
片や滅多に無い未曾有の雹害を受けたが故に農家さんから良質のブドウを分けて頂き敢えて軛をはずしてオーソドックスな造りに徹した一年だけの限定バージョンとしてリリースされたワイン。そして、もう片やは台風の影響により糖度は20度を超えたのにベレーゾン(着色)が今一つで色づきの良いのとは別に仕込みあえて単独でのリリースを一旦は躊躇したのをありのままの姿で世に問うたワイン。
ですが、その存在はそれぞれの格上版とは引けを取らないどころか喰ってしまうぐらいのものであり、頂いた当時はワインにまつわる背景を知っていたものの「素直に美味しい」だけが先行していただけに後で見つめ直す事によって改めてその存在の有難みを噛みしめる事になり、しみじみと色々な事を考えさせられたワインです。
Blogに挙げたワインはどれも素敵なものばかりです。そもそもワインが心底好きなだけに「一番好きなのはドレや?」と聴かれても「ドレも好きじゃ。」となって実も蓋もありませんが、「印象に残ったもの」を挙げるととなるとこの四点になります。