「甲州種ワインを愉しむ会」に参加して、、、。

雪が午後になって舞い出した山梨の甲州市ぶどうの丘で上記イベント(リンク先は甲州市Webページ。PDFファイル)が開催され、先日のフォーラムに続き参加してきました。
今回は、「県内のトップセラー」が甲州種ワインをネタに熱く日本ワインを語ると言う趣旨で行われ、前回のフォーラムとは違った飲み手対象の一般目線に因る内容です。
こういう取り組みは、「お堅い勉強」と捉えられがちですが、勘でアテずっぽうに接してもらうよりも「一口メモ」的な感じでちょっとした知識(単なる「能書き」では無い事に注意!)も感覚と共に生かせば楽しみも増大する事しきりです。これぞ、まさに真の啓蒙活動です!
内容は、甲州種ワインが
「いかなる現状にあるか?」「消費向上のため必要な事は何か?」「世界に認知されるための条件はどのようなものか?」
を討議し、その後アトラクションで甲州種ってどんなワインかを知るためにいくつか味わってもらい、クイズ(十問)を当てて当選者にはワイン一本贈呈と仕掛けも工夫されてました。では、メインの議論の要旨を小生なりにまとめたものを以下に記します。
<現状について>
数年前では甲州を此程にまで取り上げられなかったのが、最近はメディアへの露出が増えた事もあり注目を集めているのは事実。
しかしブランドとしての認知・産地としての地元での盛り上がりがまだ不十分である。
<消費向上のため必要な事>
まず、露出の機会が増えたとは言え、実際はまだ愛好家の中だけのブーム。(小生注:1990年に故郷の老舗ワイナリーにて甲州ワインと遭遇して以来、「たたき上げ」で日本ワインからアプローチし他の世界へと目を向けた私の様なパターンはごく稀で、大抵の人はワイン=外国のモノから入っているのが殆どです。)
イベントやマスコミに因る瞬間的な需要拡大では無く、「ハレ」の場と普段の場との接し方を使い分けながら持続的に親しまれる事が好ましい。
そのためには、

  • 造り手と売り手と飲み手の三者がそれぞれ自律しつつ固定観念を捨てること。
  • 造り手と飲み手を繋ぐ売り手(酒販店・飲食店)がしっかりしている事が条件。そういう売り手を双方が生かして選んで欲しいと考えている。(その理由として、しっかりしている売り手は情報発信基地としての役目が大きく、小回りが利きしかも独自のネットワークがある。重厚長大なやり方は過去のもので利益追求に走りがちでブランド力向上への寄与が薄くなりがち。)

<世界に認知されるための条件とは?>
その条件としては大きくは、三つ挙げられる。

  • 山梨は、産地形成の意識があいまい。足元をしっかりしていかないといけない! 宅地や商業施設開発が優先され、その合間にぶどう畑では寂しい。それでは、胸張ってワイン産地ですとアピール出来ない。そのためには、地道な取り組みと共に行政がアシストしていく(小生注:リードする形だと強制になり、かつ現場の声が反映されない恐れがある。)動きも必要。
  • グローバルなモノの見方が浸透しているとはいえ、ワインは個々の地域によって異なり、また日々進化している。(小生注:社会が変われば商品の有り様も変わってきます。真の「伝統工芸」はいまの朝の連ドラではありませんが、「古典」の継承と共に「創作」による新陳代謝を取り入れたものだけが連綿と続いていると思います。)そのため、仮に欧米と同様のワイン法をそのまま導入するのでは無く、独自のを編み出す事が差別化にも繋がる。
  • 農家さんでワインをイメージして造っている人が少ない(小生注:ごく限られてはいますが、篤農家はちゃんと存在してます。)。実際に飲んでもいない人が耕作し、意識のギャップを感じる。ブドウ造りに大変な想いしているのに矛盾を感じる。その穴埋めもしていかなくてはならない。(小生注:誰がその役目をするのかを考えるのはまた別に必要ですが、、、。)

以上、こんな所です。
これまで小生もBlog上にて私自身なりの考えを記してきましたが、今回のは、実際に生業として携わりつつ、ワインに対する愛情深い人々による意見として参考になりました。私の過去記事(「日本ワイン」と言うカテゴリーで随所に出てきます。)と併せてご覧になって頂ければ幸いです。
○関連記事
甲州種ワインの普及策探る
(「道の駅とよとみふるさとメール:食と健康の一般ニュース(山梨日日新聞発行)」 2008年2月10日記事参照)