「地のブドウ」を真に生かしたパオロ・パネライ氏

キャンティ(キアンティ)と言えばサンジョベーゼという黒ブドウが主原料ですが、星の数ほど醸造家が居ててピンからキリまでというのが現状。そんな中、「土着品種」の王国、イタリアらしく、オリジナル・クローン(原種)の「サンジョベート(Sangioveto)*1」で打って出たワイナリーさんのお話が、フォレスター社のワイン総合情報サイトに掲載されています。
ローカルワインで世界へ打って出た男(「WINE21」より、2008年2月23日付記事)
このワイナリーのオーナーさんがパラネイ氏。単に、「土着品種」でやったという訳でなく、品種特性を生かしたりや売り出し方を綿密に考えたり等(しかも、大学等の協力も仰いでいる。)、個性の発露と周辺との連携のバランスを取っているのが素晴らしいと小生は思いますよ。
日本での代理店が、記事中で触れているようにメルシャンさんじゃないですか! この間議論した甲州ワインのあり方を考えると学ぶ物は大きいですぞ。勝沼ワイナリーさん、頑張れ〜!(メルシャンさんの、「カステラーレ・ディ・カステリーナ」のサイトはコチラ *2

*1:中世の文献に「サンジョゲート(Sangiogheto)」と記されていたそうですが、これが「サンジョベーゼ(Sangiovese)」であるかどうかは確たる証拠はないとの事。DNA鑑定の結果では“Ciliegiolo”という中央イタリア原産の品種がサンジョベーゼの片親であることが判明しているとのこと。詳しくは『The Oxford Companion to Wine(Third Edition)』のp.606を参照。残念ながら表記の本では、「サンジョヴェート」は出てきません。

*2:このワイナリーさん、Webサイト見ますと商品ならびに価格構成も良く出来ていて、オーソドックスな「キャンティ・クラシコ」も出している一方で、I.G.T.Toscanaのクラスでは所謂『ゴヴェルノ』タイプのキャンティもラインアップに入ってます。『ゴヴェルノ』は白ブドウ(マルヴァジアやトレッビアーノ等)との混醸ないしは果汁添加といったキャンティ独特の醸造法を指しますが、これを悪用してキャンティの品位を落とした悪徳醸造家もいます。が、本来は幾分酸度の高いサンジョベーゼ種で口当たりを良くして飲みやすくするための『匠の技』なのです。一方で、キャンティ・クラシコでこのような拘りの生産者(「キャンティ・クラシコ フォントーディ」参照。東京・世田谷のワインショップ「プティットメゾン」さんのサイトより。)もいて、こういうのが面白いのです。奥が深いですなぁ〜。