パワーアップした鬼蔵巡りツアー(「ウィークエンド・ワイン蔵めぐり」に参加して)

最近、山梨では新興ワイナリーの誕生(2008年1月10日記事参照)や、様々な県産ワインを考える催し(2008年2月1日記事、ならびに2008年2月9日記事参照)に見られるように、ルネッサンスと称すればよいのでしょうか?機運が高まってます。(EUへの輸出話も有りましたからね。)
そんな訳で、勝沼ワイナリーズクラブにメルシャン/勝沼ワイナリーさんと大和葡萄酒さんも加わりホットな催しとなった「蔵巡り」ツアー、ますます多忙になってます。(嬉しい悲鳴ですわ!)
今回は、午前の部にダイヤモンド酒造さん、午後の部に山梨ワイン醸造さんを訪れました。何処も熱心で時間の経つのを忘れてしまいました!
<ダイヤモンドさん>
初蔵巡りに参加した際に訪問したのは、約2年前の3月18日です。以来、こつこつと欧州系で自園のシャルドネ2007年9月16日記事参照)やカベルネ・ソーヴィニョン(CS)とプティ・ヴェルドー(PV)をアッサンブラージュしたワイン(2008年2月10日記事参照)をリリースしつつ、屋台骨の定番甲州シリーズと「パイオニア的存在」のますかっと・ベリーAシリーズで存在感もきちんと示しているダイヤモンド酒造さん。[雨宮吉男氏のマスカット・ベーリーAに対する先駆者としてのこだわりは有って当然でしょう。](それと、ビネガーも有名ですよね。)地元産の甲州とベーリーAへの想いは半端ではありません。特に、ベーリーAでは原料の質の違い(契約栽培と農協経由のブドウ)で味わいの差がこれだけ出るとバレルサンプルで痛感。今後は栽培面でより地元の有志との連携を緊密にして行くと吉男氏は語っておられました。
工場内を見学後、ざっくばらんに吉男氏がテーブルを前に「パンテーブル」さんのパンとチーズ(ハード系のグリエールと青カビ系のフロムダンベール)にオリーブとリエットを振る舞って下さるといういつものサービス精神たっぷりで、時には流れるように次から次へと言葉が溢れる吉男氏の魅力爆裂の楽しい談義に参加者も負けじとしゃべりまくり。皆さん白熱したトーク(ワインだけでなく世間話や、最近の吉男氏のフランス旅行記も含め。笑)でおなかも心も「世は満足じゃ!」でした。そして、ベーリーAをセニエした時のを用いたロゼワイン、 ”ROSADO” という名で唐草模様が渋いエチケット(自作とのこと・写真参照)が印象的なワインも新しくリリースするそうです。
来年の蔵巡りでは、新嗜好も取り入れるとのこと。それは、次回の発表まで請うご期待!(ネタバレすると面白くないので、来年のお楽しみということで。笑)
<山梨ワインさん>
訪問は約1年前の3月17日以来です。最近、イタリア製の瓶詰機を導入され怪気炎を上げている野沢たかひこ氏(本人はいたってクールさを装ってますが。笑)が最初は案内をして下さりました。かの国産ワインコンクール(2007年)で金賞を取得したカベルネ・ソーヴィニョン(2005ミレジム)が植栽されている「七俵地畑(ひちひょうじばたけ)」に以前と同じく案内して下さりましたが、今回は運良く剪定前後(使用前・使用後みたいな感じ)のブドウの樹をわざわざ一部残して下さっており、分かりやすかったです。しかも、「南仏系の品種(タナやシラー)にもトライアル」とかつて書きましたが、今年はシュナン・ブラン等も植えていました。単純に温暖化を考えるのではなく、欧州系で勝沼いや七俵地にてフィットするものを試行されおり、それだけでは無く今後のためにフランスから苗木も輸入されたそうで(クローンの違いも含め沢山の種類を!)、現在は検疫のためお役所さんにて世話しながらとのことです。(それが結構大変なのですよ。ここでは、長くなるので敢えて割愛します。)
また、今回は試飲にて今後リリース予定の「シャルドネ七俵地畑収穫(2006)」(写真の左から三番目のノンラベルの白ワイン)とサンプル品(写真の左から二番目のノンラベルの赤ワイン)を頂く事が出来ました。シャルドネは、前年のものよりも当たりが柔らかく樽の感じも抑え目にしつつ、こってりした魚系の食事と合わせると美味く頂けそうな果実味の程良い厚みと酸の量が感じられる優れた正統派シャルドネワインで、もう一方の目玉サンプル品の赤はチャーミングな感じでこれがまた旨いのです! あ、これ以上は参加者のみの特典と云うことでナイショ。(ここでも余りネタバレすると面白くないので、今後のリリースをWebページで気長く待って下さい。笑)
今回、後半の説明を担当された栽培部門の須田ジョージ氏が、本当に親切にしかも熱く語って下さったのには頭が下がります。栽培にかける想いが凄く伝わって来ました。何と云っても、果樹栽培で最も難しいブドウの樹を育てて行く過程を、一般の人にも分かりやすく説明されていたのには、聴いてて良かったなぁ〜♪と思いました!


以上、例年以上にワイナリーさんの力の入り具合が凄かった今回の「蔵巡り」。ワインは、同じ品種のブドウで異なる造り手が醸し出すのですから、その中に個性をさり気に出して行くことが重要で、そこが他の工業製品と異なる所で、嗜好品の中でも特異な部類のような気がします。だからこそ、面白いんでしょう。(工業製品では、模倣でも新たな機能や使い勝手を付加することがまだ容易。ワインでは他のと同じ風味のをこしらえても意味が無い。小手先のテクで「化粧」を施すのは簡単ですが、真の意味での個性を醸し出すのはまた別。容易ではありませんよ〜。苦笑)
そういったことを踏まえつつ、ワイナリーさんの毎のカラーを存分に楽しむ事が出来た今回の蔵巡りは天気にも恵まれ(花粉症は、、、泣。)、圧倒的なヴォリューム満載の嬉しい催しでした。