山形ワインフェスティバルに行って参りました!

今年の秋は精力的に産地訪問を企てて来ましたが、今週末で三回目。何とか都合つけて、山形を訪問することが出来ました。やはり、産地の「今」を伝えるのはイベントの多いこの時期がふさわしいかと。
県のワイン酒造組合が主催するこの催し、勿論初めての参加です。十数回を数えるそうですが、県内のお客さん中心にごった返してました。しかも、チャリティー募金も兼ねた有料試飲コーナーも開設。今や名物行事となっているとのことです。
では、尋ね歩いたブースを順に振り返ります。
タケダワイナリー2006年8月1日訪問
岸平典子社長のもとラインナップの刷新を徐々に行い、「典子さんのカラー」が確立されつつあるタケダさん。今回は典子社長の旦那様でワイナリーの取締役が板についてきている和寛氏と営業部の荒井裕一氏が応対して下さりました。
蔵王スター・特別限定醸造ワイン」と銘打った恒例デラウェアの新酒(甘口と中辛口)を中心に、中核商品の「アッサンブラージュ」シリーズ(値段と質のバランスが取れた秀逸なワインです。)、長期熟成型の「アストール」等豊富なラインナップのワインを試飲出来ましたが、なんと言っても一番の優れものがマスカットベリーA サン・スフル(2006)2005ミレジムよりもシナモンとカカオの薫りが心地よく立ってきて優れたベーリーAのワインに共通する特徴がよく出ています。また、心地よい酸味とまろやかな渋みが溶け合って体に染み入る所は「体内アルコール探知器が作動せず、ノーチェックで入ってきますから。」というDMで来る『ワイナリー通信』のお触れ込み通り。本ミレジムは前回訪問で頂いた2005物よりある意味「危険度が増している?(笑)」美味しいワイン。アブナイ旨さです。(笑)
酒井ワイナリー
明日訪問予定の酒井ワイナリーさん。詳しくは翌日の日記を見ていただくとして、ワイナリーの顔である酒井一平さんが応対して下さりました。こちらでは、もう売り切れの商品も参考出品で頂くことが出来たのです。手に入れるのは次のミレジム出荷まで待たないといけませんが、それだけ注目されていることの証なのです。
○小姫(白・2007年)
赤湯産デラウェアを用いた新酒。甘口という括りになってますがベタ甘では無く凛とした味わいがします。気軽に美味しく、でも中味は果実味のたっぷり詰まったフレッシュなワインです。
○バーダップワイン(白・2005年)
瓶熟成で詰められた「素の赤湯産甲州ワイン」。オーソドックスなタイプの辛口でありながらもったりした所が無く実に美味。スッキリした口当たりで余韻もあり、赤湯産の特徴である酸味もちゃんと出ています。
○バーダップワイン樽熟成(白・2003年)
こちらは同じ甲州でも樽熟成。古樽熟成なのでどちらかというと樽の香味よりも酸化熟成感が出ています。しかし、こちらも決してぼけた味にはならず酸が引き締めている上に酒躯が強いのでかなりドライな味わいです。濃い味噌味の和食や煮物に合いそう。
○バーダップメルロ樽熟成(2005年・完売品)
山形のメルロは塩尻のと異なり、柔和な中にも酸に基づく芯の通った風味が特徴です。そんな特徴を余すところ無く表現したのがこのワイン。
パワフルさでは無く、酸・渋みプラス熟成による旨みの調和に重心を置いたワイン。香草のような薫りが印象的です。
○バーダップ樽熟成・スペシャブレンド(2005年・完売品)
酒井さんのワインでは、ベイシックなバーダップワイン(白)と並んで個人的に一押しのワイン
カベルネ・ソーヴィ二ョンとメルロのアッサンブラージュにより、上記のメルロ樽熟成に比べ複雑味が増してます。また、ボディー感はしっかりとあり、メルロ樽熟成より重厚さも上のランク。最初に香る黒イチゴ系の薫りの後にメルロと同様香草の薫りが心地よく漂ってきます。
秋の味覚といえば、野禽系。合わせて見たいなと思います。
天童ワイン2006年7月31日訪問
こちらでは、お勧め本『日本のワイナリーに行こう!2007』にも登場されている佐藤政宏専務が応対して下さりました。
新酒も頂きましたが、思わず目が行ったのが新しく出たセイベル種の「山形ブラン」とメルロ種の「山形メルロ」。共に日常飲めるスルリとした穏やかなる味わいが印象的で、さわやかな果実味の「ブラン」とまろやかな渋みと透明感のあるガーネットの色合いが綺麗な「メルロ」は優れものです。以前購入した「原崎シャルドネ(2004)」は本当に美味しく、隠し味程度に残された果実の甘みと樽の風味が溶け合った上に、芳醇な洋梨香が心地よい味わいを引き立てます。
朝日町ワイン2006年7月30日訪問
こちらのワイナリーはこのイベントでは出ていませんでしたがミュラー・トゥルガウと、ツヴァイゲルトレーベといったドイツ系のブドウで良いワインを出してます。今回は山形セレクション認定となった二つのワインを看板商品としてアピール。実力もチャンと備わっていることが改めてよく分かりました。
○セレクト(2004)
赤はメルロ主体でカベルネ・ソーヴィニョンもアッサンブラージュした端正な辛口赤ワイン。香しいブルーベリー系の薫りに加え、2003ミレジムと比べよりボリュームを感じ完成度も上がってます。
○ツヴァイゲルトレーベ(2004)
以前の訪問では2003ミレジムを頂き好印象だったワイン。山形セレクション認定は2003年物(昨年度認定)と連続して取得しています。酸も穏やかなのが朝日町のツヴァイゲルトレーベの特徴。北海道のとはまた異なる趣です。ミディアムボディでありながら、今回のミレジムはさらにふくよかな味わいも加わっています。これは、優れものです。
高畠ワイン
こちらも明日訪問予定です。同様に詳細は翌日の日記を参照してください。
出展していたのはデラウェアの新酒がメインでしたが、かの有名な「上和田ピノ・ブラン」の2006年物が味わえました。こちらも県のセレクションを2年連続認定昨年度は2005ミレジム)した実力派。定番かつ本格派であるこのワインは、井筒ワインさんのピノ・ブラン、北海道ワインさんの鶴沼ヴァイスブルグンダーと併せて日本の三大ピノ・ブランといえるでしょう。

駆け足で回ったとはいえ、あっという間に時間が過ぎこれにて終了。他にもまだまだ実力派のワイナリーがあって、しかも没個性な所も無く各ワイナリーが切磋琢磨していることが短い時間ながらも感じ取れました。山形のワイナリーの今後に期待です。