お互いの「本気度」を測れなかったのが誤算に。

ブドウの里 道遠し 池田町(「asahi.com - マイタウン長野」より)
地元の農家さんと町が結束してすみやかに合意を取り付け、明確な道筋の元で計画がトントンと進めば良かったのでしょうが、相手は非地元の大手資本。結局は話がすぐまとまった県内の他の候補地(文中にもある丸子町)に自社農園 *1を開墾したために、二重投資となって採算性が低くなるのを嫌ってこのような決定になったのでしょう。
この文章だけを読むと、進出断念を決めたメルシャンさんが最初に態度を明確にすればよかったのにと感じる方が多いかもしれませんが、小生の意見は、実際に色々日本のワイナリーとワイン用ブドウ栽培の現場を見て来て思うに、利害関係が複雑に絡み「総論賛成・各論反対」状態に陥って政治的調整がままならなくなり、畑を預かる農家さんとその地元の熱意・結束(それも前時代的な高圧的で無い総意の下で)がぼんやりとなってしまった所にも一因があるという考えです。地権者間の温度差と、それをまとめ切れなかった町の姿勢が悔やまれてなりません。*2
まぁ、喧嘩両成敗で、ある意味お互い様かなと思います。やはり、思惑越えて地元と企業がベクトル併せて熱心に進めない限り、地元の産物は『名産物』へと生まれ変わることは出来ないことを改めて思い知らされます。
○関連記事
九州への旅が終わって思うこと。(小生2008年10月14日記事)
手元に届きました!(ご苦労様です)(小生2008年10月25日記事)

*1:いわゆる、「マリコ・ヴィンヤード」のことです。詳しい経緯は2007年12月22日の記事にて紹介している『日本ワインを造る人々(2) - 長野県のワイン』に書かれています。そちらを参照下さい。

*2:記事中にある高級ワイン路線ではなく、大森リースリングのように地ワイン路線(1)(2)で日本国内で栽培していない他の有望なワイン用品種を植えて実績を重ねるという手立てもあったかもしれません。「大森のリースリング」に関してはこちらも参考に。