サッカーって、人生模様を学ぶことが出来る、ある意味最高の素材かと。

いや、お題に書きましたように、スポーツ全般そうなのですが、特にサッカーはそうだと私は言いたいです。

昨日(11月16日)のサッカー天皇杯の決勝から一日経ってほとぼり覚めたと思いますが、改めて振り返りたい。

あの、ヴァンフォーレ甲府が、天皇杯でジャイキリを果たしたのです。準決勝の鹿島戦に続き。
で、前半は甲府が先制、しかし後半に広島が追いつき、伸るか反るかの攻防…。そして、
まさかのPK献上→ビッグセーブで窮地救われる→延長でも決着付かず→またもやビッグセーブ→お膳立て揃った→大団円‼️
初めての、ビッグタイトル獲得です。

かつて、私山梨に住んでおりましたので、VF甲府には少なからず情が移るものです。で、以前に

BJ魂に載っているヴァンフォーレ甲府の海野社長の漫画はJリーグファンなら必読の内容』(元のリンク先が消失してしまったので、ウェイバックマシンから再掲。)

をワイン関係者も見習ってほしいと拙Blogでも投稿(2008年4月15日)したのですが、当時の苦難を知る数少ない選手、その人こそ「山本英臣」です。

www.soccer-king.jp

パフォーマンスのピークは過ぎましたが、未だ現役。
愛される選手がこうしてチームにいる事は、何よりも誇りに思って然るべしかと…。

改めて、ヴァンフォーレ甲府、おめでとう‼️

(追記)
こんなドラマもあったのですね…
(ニュースやネットのダイジェスト見ると、その姿が映っておられ、名物おじさんかなと思っていました。)

newsdig.tbs.co.jp

文章にすることが改めて大切だと感じる。

先日の記事で、ぶどう栽培・ワイン醸造に従事、もしくはこれから生業にしようと志す人々へ向けて、ベースとなる一般論としての知識を養うための書籍を紹介させて頂きました。

okkuu-daaman.hatenablog.jp

こうして記事として投稿しますと、「本(書籍)」というヒトへ物事を伝える媒体が、たとえ使い古されたものであっても、まだまだ必要なものだと感じております。

文章にして書籍化すると云うことは、人が、周りから感じ取り頭の中で考えていることを、単に喋りことばで伝えたり映像(写真、動画)に仕上げたりするよりも、個別具体的なものから一旦抽象化して掘り下げ一般的な概念に落とし込むので、より多くの人々に通念として理解出来るように変換出来ます。

つまり、個別具体論では事例が多く特有の事柄が出てしまうので、特定の場面でのみ当てはまるとかココロの一部にしか刺さらなかったりするのに対し、一般論とすることでベースとなる知識を養えることに繋がりより本質的な理解への助けとなります。

ネットではこうした文章化したのを伝えるには、一世風靡したBlogや今ではnoteのような媒体がありますが、広く人口に膾炙しようとするのならやはり書籍に一日の長がございます。だから、ネットの発達でSNSYouTubeでコミュニケーションが活発になり、その存在が大きくなっても、書籍が失われないのはそんな所にあるのかと、私は考えております。


で、9月4日の記事でちょこっと紹介させて頂いた、久松達央さんの新刊は、農業の「中の人」やこれから志そうとする人はもちろんのこと、一般の方々に広く読んで頂きたい。

なんやかんやで、人間食いもん食べんと生きて行かれへんのですが、何でも有りの現代、農産物に関しては食べて消費されるトコと生業として造られてるトコの距離は物理的なもの以上に遠ざかり、テキトーな憶測と、メディア(オールドメディアだけでは無くネット上の新しいメディアも)では摘み食いの情報が一人歩きし、有意義なお話はこうしたものの断片の中に埋もれてしまう始末…。

そんな訳で、「農業」というのがかなりイメージ化して、まるで見て来たかの様にありもしないコトを実態としてしまうのには違和感があります。

それは、よくあるワインに関するまことしやかな風説が拡がるのと一緒です。
私が以前このBlogで、過去日本ワインの現場へ足繁く通い、メディアで伝え切れないことを書いて来た動機はそこに有ります。

必要なものあるいは無くてはならないものと認識していても、それを勝手に抱いたイメージの下で「あるべき論」を語られては、「釈迦に説法」です。

そこに、「良い意味で冷や水浴びせてくれる(笑)」こちらの書籍。
かの記事でも、「頭冷やすのに最適な一冊」と挙げましたように、悶々とした時にでも如何でしょうか。

農業のあり様を率直に綴っただけで無く、(人生論と云うとオーバーですが・多分そういうと著者に「そんなに大層にせんとって欲しい」と突っ込まれそう・笑)自分のこれからに悩んでる人にもお薦め。

ぶどう栽培・ワイン製造を生業とする、あるいはその道を目指す方への書籍

以前(2020年11月1日)、『ワインの知識を養える書籍』というお題で、記事を書かせて頂きました。

okkuu-daaman.hatenablog.jp

それから後、一般の方では無く、今日のお題のように

『ぶどう栽培・ワイン製造を生業とする、あるいはその道を目指す方への書籍』

について、何か良いのは無いのですか?と時折聴かれることがありました。

個別に聴かれた方には都度その人に対してお答えしてきましたが、その道へ進む人が一般論として知っておく知識の総説としての成書がボチボチ出揃って来ました。
そんな訳で、今回の記事では、各ジャンルに分けて紹介したいと思います。

なお、今回ご紹介する成書としての書籍は、業界関係者でなければ入手不可なものもございます。あらかじめ、ご了承ください。

<栽培編>

ぶどう栽培に関しては、初心者向けの入門書として、まずは、

を手に入れて欲しいのですが、基本として知っておくべき一般論を網羅した成書が以下の2冊です。

fruits.jp

上記の『ブドウの郷から〜おいしい葡萄のできるまで』は、下記農文協のオンラインブックストアからも購入出来ます。
https://shop.ruralnet.or.jp/b_no=05_S0027528/
(田舎の本屋さん〜農文協のオンラインブックストアに掲載)

Amazonに掲載)

『ブドウの郷から』は生食用ですが、ぶどう栽培の基本として知っておきべきことが丁寧に書かれており、総論から品種別の各論まできちんと掲載されています。Amazonでは入手できませんが、上記“田舎の本屋さん”にてオンラインで入手可能です。また、この書籍は次に紹介する『醸造用ブドウ栽培の手引き』の参考文献にもなっています。

そして、『醸造用ブドウ栽培の手引き』は2022年の4月に刊行された、待望の醸造用ぶどう栽培に関する成書です。洋書での“手引き”は多数存在しますが、何しろ生育環境が異なる欧米のをそのまま適用するのはいささか無理がございます。そこで、本場海外の実情もふまえつつ日本の現状に即した成書は、これが初めてではと思います。

以上の2冊は、栽培分野に関しては必須です。

<農学編>

栽培の話をする前に、生業とする方が農業を営む上で欠かせないのが、「農学的知識」です。

ふつうは、農家の跡継ぎとなると、地域の農業高校や農業大学校に入ったりするのが昔は多かったと思います。
あるいは、地域の行政や農協さんの普及員さんや指導員さんが出先で“茶飲み話”しながらや、農家の方がそうした所の出先機関に出向いたりして根掘り葉掘り訊いて吸収していったことが多いかと思われます。

しかし、「跡継ぎ系」だけでなく農業に参入する人材は、多様なコースになって来ております。そうした場合、今までのキャリアが長かったりすると、知識がなかなか追いつかない…。でも、農業高校の教科書を成書化したこの2冊なら、ぶどう栽培を志す方には良いかと思います。

農学基礎セミナー 作物の生育と環境
https://shop.ruralnet.or.jp/b_no=01_4540000268/
農学基礎セミナー 新版 果樹栽培の基礎
https://shop.ruralnet.or.jp/b_no=01_4540033328/
(いずれも、田舎の本屋さん〜農文協のオンラインブックストアに掲載)

『作物の生育と環境』は農学の基礎中の基礎、『新版 果樹栽培の基礎』は果樹栽培全般に関しての基礎が書かれています。もちろん、ぶどう栽培の一般論もちゃんと記されてあります。
農学の基礎と、ぶどう屋さんなら果樹栽培全般についての知識は、分野外でも“ちらっと”でも知ってると俯瞰的にものが見れるかと思うので、持っておいて損はありません。

醸造編>

ワインの本場の欧米では、醸造技術に関する成書はいろいろございます。また、学術的にもそうした本場ではサポートがあり、醸造を専門的に学ぶ専門学校や大学が門戸を開いておりますので、体系的に知識を身につけるにはちゃんとした学校に入学するのがベストです。日本でも、数は少ないですが、大学だと山梨大学東京農業大学、高校では山梨県立農林高校長野県塩尻志学館高校、専門学校では東京バイオテクノロジー専門学校がございます。

ただ、書籍として日本語の成書がこれまで少なかったことは事実です。ところが、近年職業としてワイン醸造に従事する人や志す方向けの専門書がぽつぽつ出始めました。

まず、初心者向けの入門書として、まずは最初に拙Blogで取り上げた『ワインの知識を養える書籍』にて紹介した、清水健一先生による著作

の2冊は基礎中の基礎として、一般の方のみならず業界の中の人も必須と云えます。

そして、さらに詳しい専門書としては

山梨県ワイン製造マニュアル(2020年版)』
山梨県ワイン酒造組合に直接問合せ※下さい。但し、業界関係者のみ入手可
※問合せ先については、山梨県ワイン酒造組合のサイト、トップページの一番下に住所と電話番号が掲載されております。

www.jozo.or.jp

(公益財団法人 日本醸造協会の「書籍販売」の項に掲載)

がお薦めです。

山梨県ワイン醸造マニュアル(2020年版)』は現場での実践的な技術の手引きとして、そして今年の1月に案内されました公益財団法人日本醸造協会の『ワイン醸造技術』はより専門的な事柄を突っ込んで書いているだけで無く、ワイナリー設計や税務関係や国内の関連諸法規に関しても記述されている貴重な書籍です。

www.jozo.or.jp

よって、醸造に関しては、入門の2冊と専門書の2冊を揃えるべきと云えます。

<その他、そして最後に>

上記各分野には、入手しておいて損は無いものも他にございますが、細かい所に特化した内容になっているところもあるので、まずは上記の一般論を成書化した専門書を一通り揃えて行って下さい。

また、上記の分野外で「中の人」が持っておくべきなのが、

の2冊でしょう。前者は「日本のワインづくりの父」川上善兵衛の功績として育種した日本独自のぶどう品種を語り、後者は映画「ウスケボーイズ」や「シグナチャー」での主人公達のバックボーンとなる核心人物・麻井宇介こと浅井昭吾氏の哲学を余すところなく記されたご本人の著作集です(出版元のサイトはこちら、本当は、日本の酒類行政についてまで赤裸々に記された激動の戦後酒史『酒・戦後・青春』もあればベストですが…)。

それと、最後に番外編ですが、ワイン卸業者として海外ワインのインポーターや日本ワインの卸として業界中で知られております、株式会社飯田さんの「日本ワイン紀行」も買っておいて損はございません。業界向けなので専門用語を使って執筆されておりますが、ライター陣が業界でも有数の方々が手がけており、それでいて平易な記述ですので今の日本ワインシーンを知る上で役に立ちます。

nihonwine.base.ec

こちらは、バックナンバーも上記サイトで購入可能です。

ようやく、ぶどう栽培・ワイン醸造に携わる方々が書斎に置いておくべき書籍をまとめることが出来ました。手に取った方々は、まずはこうしたテキストで、ベースとなる知識を養って貰えればと思います。
業界で従事する、あるいはその道を志す方々の参考になれば幸いです。

時代の変貌に色々感じ、戸惑う…。

当方、只今収穫しましたぶどうをワインとして仕込み終え、発酵の途中です。

ちょっと作業が一段落しましたので、久しぶりに昨夜痛飲してしまいました。(苦笑)

そこで頂いた、某ブルゴーニュの蔵のと自然派の醸しワインの変貌っぷりには驚いたというか、ガッカリというか…

写真のDVDが上映された時とか、ANAの機内誌手に取ったときとかの頃を思い出し、「あの時は…」と今朝起きてからも考えさせられています。
  

無論、単純に「昔が良かった」と云うのではありません。
普通なら、昔の悪癖を引きずることなく、かつての良い事を時代に促しつつも踏襲し、新しい良いことを取り入れる。

でも、今はなんか違う方向に向かっているな…、と。
「そこじゃない」感があるのです!

当時は、SNSミクシィぐらいだったか、まだこの頃私は例のブロガーやっていて(笑)、TwitterFacebookやり始めたのは2010年代以降。
YouTuberなんて言葉も無かった時代(笑)。

SNSの功(コウ)の部分はあっても、罪(ザイ)の部分としては情報の伝播スピードが速くなり、安近直なのが好まれ、物事を掘り下げて考えることがあまり無くなったように思えます。

そこで、色々なモノ・コトがコマーシャリスティックに過ぎたり、単なるウケ狙いに走ったりと、云う事例が増えてきているように感じます。いや、増えてないかもしれないが、SNSの存在がそういったことを殊更にクローズアップさせているのかもしれません。

まぁ、道具として上手い事付き合う。自分もSNS使っていますし(笑)、それしか今のところは解が無いですが、自分なりにボチボチやれたらと思います。

久松さんの本を読んでいる途中ですが、これ読んで頭冷やすか。

自分も農業者ですが、それよりも農業を生業にしていない一般の多くの方々に読んで欲しい。どんな職業にも通じるお話が展開されています。

上記の悶々とする想いに、何かを教えてくれるような一冊。

大切なお知らせ(開業のご案内)

かねてから準備を進めてまいりました小生の事業に関してですが、この度ようやく準備が整い、皆様にお披露目することとなりました。

屋号は、「おおさかぶどう・ワインの郷(さと)」です。

SNSについては、Instagram
https://www.instagram.com/osaka_grapeandwine/
Facebook
https://www.facebook.com/osaka.grapeandwine
にて公開しております。

前者では、ぶどう畑での四季の移ろいを中心としたビジュアルを中心に、後者では、コラムなど文章交えた投稿を中心にお伝えしたいと思います。
フォローならびに「いいね!」を頂ければ励みになります。宜しければ、お願いいたします。

ぶどう・ワインそのモノだけではなく、大阪のぶどう・ワインを通じて皆様に、天空に輝くロゴよろしく親しみと歓びを感じて頂ける様な「コト」も併せて提供していくことが出来ればと考えております。

どうか、今後とも変わらぬご厚情を賜りますようお願い申し上げます。

おおさかぶどう・ワインの郷ロゴ

今でも「背中をそっと押してくれる」アーティスト

音楽は、心の肥やし。

私の相棒でもあるiPad mini、ミュージックアプリには好きなアーティストの音楽を色々入れていますが、中でも愛聴しているものが、Joy Division & New Order…。
昨日Facebookのタイムラインでも流れて来ましたが、5月18日はイアン・カーティスIan Curtis)の命日。 自分にとっては、JDとNOは思い入れが深い、「背中をそっと押してくれる」アーティストで有ります。

Joy Divisionを一言で表すにはとても難しいバンドだが、このバンドを寸評しているテキストで他の追随を許さない的確なものは、これを置いて他には見当たらないのでこちらを。

kosuke1226ma.hateblo.jp

JDに関しては、拙Blogにて度々取り上げていましたので、以下に再掲。

okkuu-daaman.hatenablog.jp

過去のアルバムについても、この記事からのリンク先にて触れておりますので、よかったらご覧ください。

大手の戦略的ワイン新商品(後編)

前編は、こちら(2022年5月2日公開)。

サントリー・ワインカフェ ワインソーダ

 
「ワインをもっと自由で、開かれたものへ」
のキャッチコピーの下、RTD(レディ・トゥ・ドリンク)やビール類に慣れ親しんでいる一般の層をワインに目を向けさせるため、日本人の味覚や食文化に合う形で提案することで、本格的なワインへの入り口となる新需要開拓商品、それが、“ワインソーダ”です。(下記リンク1参照)
【リンク1】食品産業新聞社『サントリーワインインターナショナル「“ものづくり”ベースに、新提案で“日本ならではのワイン文化創造”」/吉雄敬子社長インタビュー』(2022年1月26日)

甘さ控えめ、程よい酸味と、いわゆる“RTD”のジャンルの中ではちょっと異色で、単にワインをソーダで割ったのでは無く、特許技術(下記リンク2を参照)も屈指してチューニングした形跡が窺える「計算した味」になっています。
決して、某社の「氷結 シャルドネスパークリング」では無い❗️(笑・尤もこちらはベースはワインでは無いが…)
【リンク2】サントリーグループ企業情報・ニュースリリース(2022年1月21日発表)

RTDの中でもちょっと異色な「逆張り」になっているのは興味深く、その前身の「ワインサワー」が結構受け入れられていることを考えると、食中酒としての本来のあり方に添った有り様で求められつつあるのかもしれません。そうしたことは、下記の「市井の評価」にも反映されております。

【リンク3】むねさだブログ『サントリーの「ワインカフェ ワインソーダ」シリーズが甘さ控えめで美味しいぞ!』(2022年3月24日)

【リンク4】京都チューハイLab「【新商品レビュー】サントリーワインサワー赤と白を飲んでみた!」(今回の“ワインソーダ”の前身商品・2021年2月19日)

いずれのリンク先3・4の記事でも記されていますが、実際食事と合わせやすいという評価に加え求められているのが、「本格的な味」ということです。すなわち、従来の甘めな「お子ちゃまチックなワインもどき」よりも、ちゃんとした味のを飲みたいということで、評価が上がっているのを見逃してはいけません。それも、ワインに飲み慣れていない層だけでなく、健康志向というところから時にはアルコール度数が低いもので構わないというワイン好きの左党からも要望があるようで…。
その証拠に、「低アルコールワイン」という需要が実際にあって、なんと大手さん(アサヒとサッポロ)から奇しくもこの4月から、低アルコールワインのラインナップが「スーパー系」のカジュアルな輸入ワインに加わったことからも伺えます。

【リンク5】アサヒビール株式会社公式ニュースリリース(2022年3月30日)

【リンク6】サッポロホールディングス公式ニュースリリース(2022年2月1日)

さて、“ワインソーダ”は、入り口となる「新需要の開拓」にあって、その狙いは果たしつつある様な気がします。だが、その先に課題があると思います。
すなわち、先の【リンク1】での記者の問い

「入口づくり」の手応えを感じたと思うが、カジュアルワインからプレミアムワインへの道筋を作る取り組みは?

に対し、何をしなければないかは、まだ抽象的な解答に留まっており暗中模索の途上かも思われます。実際に、同じ食品産業新聞社の取材(下記リンク7参照)にて

「若年層をワインサワーからワインへどう誘導するかは、社内でも常に議論している。」

とある通り、未だに社内でも議論の最中にある模様です。

【リンク7】食品産業新聞社『「サントリーワインサワー」販売計画を35万ケースに上方修正、新カテゴリー「ワインサワー」創造へ/サントリーワインインターナショナル』(2021年3月31日)

とはいえ、【リンク1】での文中にもあるように、一つの解として考えられるのが、

「造り手の顔や声、ぶどう畑など、より親しみやすい形でプレミアムワインの価値を伝えたい。」

とあるように、ワインがこうやって造られるんですよと分かり易く目に見えるような形で伝えることです。
それは、大手さんだからこそ出来ることで、人が限られた小規模の造り手さんではなかなか手に負えないことです。実際、大手さんでは国内のワイナリーを公開してお客様を呼び込む体制が出来ており、

メルシャン→勝沼ワイナリー椀子ワイナリー
サントリー登美の丘ワイナリー
サッポロ→グランポレール勝沼ワイナリー岡山ワイナリー

では、見学ツアーも組まれております。(注:メルシャン桔梗ヶ原ワイナリーは公開休止中。グランポレール勝沼ワイナリーではツアー休止中)しかし、コロナ禍が落ち着きを見せる中でようやく観光需要が元の勢いに戻ろうとはしていますが、遠距離への足がなかなか遠のいているだけでなく景気的にも日本だけが落ち込んでいるこの状況で、ワイナリーへ足を運ばせる前に「人目に触れる機会を多くする事」が求められると、筆者は思います。

ただ、ワインは輸入物が多くひしめき、スーパーでは廉価の国内製造ワインか安価な輸入物、専門のワインショップや飲食(ワインを置くレストランやワインバーなど)では輸入のファインワインががっちりと喰い込む中で(“日本ワイン”を扱うお店が増えてはいますが、そういうところでは“個性的な”中小のワイナリーがむしろ人気である…)、大手さんの“日本ワイン”を積極的に取り入れるには結構壁があるかもしれません。

なので、積極的に体感できる機会を増やすためにもアンテナショップとなる「飲めるお店」を、まずは人口の多い地域に出す事が先決なのでは?と思います。そして、「ワインの価値」を伝える場としての現場となって、より深く体感してもらう場であるワイナリーへの橋渡し役を担って貰うのです。

そんな中、孤軍奮闘しているのはサッポロさんで、実際東京大阪※に「GRANDE POLAIRE WINEBAR」を開店されており、大手さん発日本のワインを堪能できる数少ない場となっております(大阪店は開店早々訪れました)。それだけに、メルシャンさんの「シャトー・メルシャン トーキョー・ゲスト・バル」が閉店(2018年5月31日)してしまったのは誠に残念でした…。

(※追記:2023年9月19日)
残念ながら、GRANDE POLAIRE WINEBAR OSAKA は2022年末をもって閉店されました。

今、酒類の中でも厳しい状況に置かれているのが「日本酒」ですが、ナショナルブランドとしての灘の大手の酒蔵は、自ら露出の機会を増やすべく、「灘五郷酒所」をこの最近(2022年4月29日)にオープンさせました。
nadagogo.com
オンラインストアで入手が出来る世の中になったとはいえ、一人一本消費して開けるのは大変ですし、何よりも実際味を確かめて愉しむ機会があれば、確率が低くとも気に入って貰えれば今度はオンラインストアでも、「買ってくれる」ことに繋がるかも知れません。
背水の陣ではありますが、灘五郷の各社が枠を超えてかように攻めの戦略に出たことは注目に値します。

すなわち、“ワインソーダ”のような「商品としての入り口」だけでなく、「リアルな場所の入り口」も必要だと云うことです。それは、AppleApple Storeをオンラインだけで無く路面店を開いているのも同様で、そこでは実際に商品を手に取って見る事が出来るだけで無く各種セミナーが随時開催され、いわば「ランドマーク」となっています。こういったリアルな店舗は、アパレルなどに限らず、工業製品も含め単なる広告塔の役目だけではないのが伺えます。

日本ワインのプレゼンス向上が言われて久しいですが、ここ10年、ワイナリーの数は一気に増え、400社を超えたとのこと。(リンク先は、国税庁Webサイトの「酒類製造業及び酒類卸売業の概況(令和3年調査分)」のワイン製造業の項、2022年4月25日公開)これからは群雄割拠の中で迎える乱世の時代になりそうです。
少子高齢化などにより酒類の需要が縮小する状況下では、なかなか大変かと思いますが、その中で、今回取り上げたメルシャンさん・サントリーさんに加え、サッポロさんやマンズさんの大手組は、輸入物やワイン以外の酒類を手掛けておられる中で、より一層リーディング・カンパニーとしての“日本ワイン”への取り組みを本腰を入れて出来るか?が問われています。

そのためにも、これら大手4社には以下の提言を進めて行って欲しいです。
●家飲みなどで重宝される「商品としての入り口」だけで無く、コロナ禍で落ち込んだ飲食店需要を喚起させ、刺激となるような「リアルな入り口」を設けること。
●それに加え一歩踏み込み、遠隔地であるワイナリーと消費地である人口集積地区を、「リアルな入り口」から有機的に結びつける施策を少しずつ形にしていくこと。

この二点が今後の宿題ではなかろうか…。

以上、長くなりましたが、大手の戦略的ワイン新商品を通じて今後を考えてみました。
拙文にお付き合いくださり、ありがとうございました。(了)