たかやしろさんと小布施さんを訪問

会社のリフレッシュ休暇で放浪の旅と書きましたが、今週は信州を中心としたワイナリー巡りです。
この機会を逃したらアカンと思い、たかやしろファーム小布施ワイナリーを訪問してきました。
夜中高速を走り、小布施のハイウエイオアシスで仮眠、それからおぶせ温泉「穴観音の湯」に車置いて、いつものように自転車で訪問です。絶好のサイクリング日和でとても快適(というか午後は暖か過ぎるぐらい)でした。


<たかやしろファームさん>
志賀高原に向かう通称「オリンピック道路」沿いにあるジャスコの北側のはずれ、夜間瀬川に沿った所にたかやしろさんはあります。中野市の中心部からはだいぶ離れた所かなぁ。
一昨年10月5日にオープンしたてほやほやの新興ワイナリーですが、その名はひそかにではありますが全国に知れ渡ってます。なんでも周辺のぶどう農家有志が集まり、果実酒醸造免許取得までこぎ着けたという気合いの入れようでスタート時点から志が高く感じられます。
栽培してるぶどう品種は、なんと17品種!(白=シャルドネリースリング、ケルナー、ミュラー・トゥルガウ、バッカス、セイベル、ソーヴィニヨン・ブランヴィオニエ、シルヴァーナ、ナイヤガラ、竜眼  赤=カベルネ(ソーヴィニヨンとフラン両方)、メルロ、ピノ・ノワール、ツヴァイゲルトレーベ、シラー)  出来たばかりなので、何が中野の風土に合っているかを試行錯誤中だそうです。ちなみに一番手を焼いているのがシラー、南仏系なのでこの辺ではちょっと寒過ぎるのか?  ちなみに、ダイヤモンドの雨宮氏がシラー植えてはる話をしたら、「ああ、ちょうどいいかもしれませんね。温暖化のコトも考えると。」とおっしゃてました。話によると、10年前に比べるとリンゴの色づきが2週間も遅くなっているそうで、なんか先が思いやられます。
面白かったのが、基本的には地産地消でそれもカベルネとかメルロとかいった本格的な赤が好まれてるそうです。レストランのソムリエが来ると「この赤では薄い」なんて言うそうですが、地元の人は普段の食卓に本格ワインを愛でているのですから、日常のお酒をイメージし、あんまり濃ゆい味には仕立て無い路線であえて通しております。日本でワインが飲まれるにはそこが狙い所だと思うのですが、、、。ボクは薄いとかそういう前に素直に美味いと思いましたヨ。
で、頂いたのが
シャルドネシュールリー(2004)
果実の甘味がほんわか出てくる。あえてバリバリの辛口にはせず、じっくりと飲めるスタイルになってます。珍しいシャルドネシュールリーですが、それっぽさは強くは出てませんが、その代わり奥行きのある味わいです。
→これ一押し。買いました。2,520円でちょい高ですが納得の一本。
○ケルナー(2005)
ミントっぽいというか独特のシトラス系の香りが特徴。甘味も控えめでGoo!!
○ナイヤガラ辛口(N.V.)
たしか城戸ワイナリーさんも手がけてますが、ナイヤガラの辛口は珍しい。ちょっと癖があるが、店の人曰く、「空けてから長いこと経っているんで。」ということで真の味はまた持ち越しで。
竜眼辛口(これもN.V.?)
甘口と両方あるが、おすすめはこちらとのこと。普段ぐびぐび飲むのに適した気軽に飲める一本。甲州と似ているようで似ていない。甲州は独特の渋味があるがこちらはそれが無くまた味自体もおとなしい。だからこそ気軽に飲める。
○シラー(2004)
南仏のもののような墨汁っぽくさが無く、すっと飲める。ボクは独特の墨汁っぽくさが好きではなかったので新世界の一部を除きシラーはアウト・オブ・眼中だったのですが、これはイケル。シラーの良さである胡椒風のスパイシーな風味がちゃんと出ている。
カベルネ・ソーヴィニオン(2004、'06FISワールドカップ志賀大会特別ラベル仕様)
あの佐々木明選手が雪辱を期した先日のスラロームの大会記念に特別ラベルがおごられたもの。中身は普段と同じですが特別仕様ということで3,150円と少し高いですが、まぁ佐々木選手2位入賞お祝いということで許してやって下さい。華やかさが前面に出た美味しいワインでした。お祝いの席に相応しい一本。結局シラーとどっちにするか迷いこっちを選択。以上の赤2本はオススメです。
○メルロ&カベルネ・フラン(2004)
メルロ独特の土臭さをカベルネ・フランでバランスを整えたワイン。もう少しカベルネ・フランぽさを強く出してもよかったかなと感じました。(カベルネ・フラン、実は結構お気に入りの品種なのです。) 前2種に比べると軽めの赤ワインです。
案内をして下さった代表取締役の武田晃氏(石井もと子氏監修の「休日はワイナリーに行こう」(イカロス出版刊)に写真が出てます。)はじめスタッフは親切で気さくな方ばかりでした。地味だけどエエトコロ突いてるナイスなワイナリーです。


<小布施ワイナリーさん>
午後は、kidoワイナリーの城戸亜紀人氏と並ぶご存知信州の雄、曽我彰彦氏が辣腕をふるう名門ワイナリーである小布施さんを尋ねました。
以前、このブログでも時々出てくる近所のワインショップで買った「ドメーヌ・ソガ」(自家農園100%の上級ヴァージョン)の2003メルロ(2nd.)を飲んだのですが、5日間に渡って飲んでもタフネスさを備えた美味しいワインでした。
(しかも抜栓したての宣伝文句通りのグラマラスな感じから飲み切るまで味わいがエエ感じに枯れて行く過程が楽しめるのがよかった。というか、城戸ワイナリーのWebページのKidoダイアリーの「イル・バラートの件(2005年5月31日の記事)」にヒントを得てわざとチョビチョビ飲んだのです。)
その実力は折り紙付きでWebページのトップにあるコンクール受賞歴を見ると圧倒されます。今回は、Webページにも案内が出ている毎週土曜日に開催される彰彦氏自ら案内される「ワインメーカーズガイド」に申し込みました。
約束の時間ちょっと前に参上すると、ちょうど彰彦氏とバッタリ。一目見て彰彦氏からは今までに感じたコトのないオーラを感じました。何を隠そう、最近急に暖かくなり(冒頭でも書きました通り、この日も暖かい。)剪定を急ピッチで進めてるそうです。そんなことから、今は栽培に心血を注ぐ日々に突入でオンモードになっている訳です。
(でも、このオーラがあってこそ、あのメルロがタフだというのが分かります。)
驚いたのが、「ソガ・ペール・エ・フィス」シリーズ(国内優良契約農家のブドウを使用し自家醸造したもの。上記ドメーヌものに対してこちらはレギュラークラスだが侮れない。)が古樽を使用した熟成に対し、かの「ドメーヌ・ソガ」シリーズ全て新樽です。新樽にも関わらず、かのメルロが樽っぽく感じさせなかったのは、ブドウ自身の素質が優れている故ですし、後述する樽も関係しているのだと思います。樽は、日本の風土や嗜好に合わせ繊細な味わいを演出するためにブルゴーニュのFrancois Freresのを使用してますが、中にはフランスのボルドーチックの「力強い濃厚な味わい」を好むお得意様がいるらしくて、ボルドー樽も一部あります。(質問した所、曽我氏はボルドー樽は余り本意ではなさそうです。たかやしろさんのところにも書いたように、作り手と飲み手のギャップがここにも存在していたのと、ワインといえばフランスというような風潮がまかり通っている日本の飲み手の見識の狭さに寂しい想いを感じるのでした。というっか、そんなに欲しけりゃフランス行ってそこで自分で買ってこい! ここはフランスとちゃう日本やぞと(怒)とツッコミを入れたくなります。)
特筆すべきは、7年間もの間試行錯誤を繰り返してきたシャンパーニュ方式のスパークリングワインを販売し出したこと。詳しくはワイン蔵のニュースを参照して下さい。そこのニュースには書いてませんが、二酸化炭素であふれ返った酸欠状態故にどうなるかが面白いサン・スーフル(亜硫酸無添加)のメルロスパークリングワインも実験的に少ロットこしらえてます。
さて、試飲ですが、ドメーヌものは売り切れ御免で「ソガ・ペール・エ・フィス」シリーズと田舎風発酵シードルと発酵ホイリゲを頂きました。
○オーディネール・シャルドネ(2005)
敢えて樽を使わずに熟成させたにもかかわらず、豊かな味わい。ろ過・清澄を最小限に抑えているため温もりのある風味です。上記ワイン蔵ニュースにもあるような「古典的シャブリ」というのに納得。
○オーディネール・メルロ、2005)
メルロ主体でボルドー系の品種(カベルネ・ソーヴィニオン等)をアサンブラージュした赤ワイン。メルロ主体だけあってその特徴(土臭さ)が前面に出ているが、絶妙な配合で単調になってない所がよいです。
リースリング・ファミリー(2005)
優雅な感じの辛口白ワイン。リースリングを中心に、ドイツ系品種(ケルナー・ミュラーバッカス)をアサンブラージュしてます。柑橘系の香りが際立ちます。
○田舎風発酵シードルと発酵ホイリゲ
「小布施スパークリング」が本気モードで出した上述のスパークリングワインであるのに対し、こちらは気軽に頂ける発泡リンゴ酒とワインです。四の五の言わずに飲めば納得のコストパフォーマンスの高い逸品。
試飲の後は、自社畑でも最も主力の地域である「ムラサキ農場」を見に行って来ました。剪定で忙しい中でも彰彦氏はじめスタッフの皆様は懇切丁寧に説明して下さりました。
Webページにもあるように、2005年6月に雹(ヒョウ)害でブドウの木は大きなダメージを受けました。実際見てその傷跡は生々しいものがありましたが、彰彦氏はじめスタッフの皆様は黙々と剪定に励み、傷んだブドウの木のケアに力を注いでました。マトモなものが結実するようになるには最低2年かかるということで、今年も我慢の年ですが、いずれあのワインの如く、力強く蘇ってくるコトを願って止みません。

ちなみに、この日の宿泊先はおぶせの風YHが休業中のため(4月から再開予定)高社みゆきの杜YHに宿泊しました。ここもナイスな宿でした。夜のティータイムのケーキはオススメです!

(追記)
小布施ワイナリーを語る上で外せないのが日本酒を手がける「小布施蔵」の存在です。単なるワイナリーでなく、地域に根ざしたワインと日本酒造りを実践していることを考えると、会社名が「小布施酒造」であることが納得できます。ワインと日本酒の両輪が支え合うことで「小布施酒造」のアイデンティティーが確立されているのだと思います。